【ニュースの深層】□□87 〈改正特商法 業務禁止命令の執行相次ぐ〉/大阪府「大手含め積極適用」

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 地方行政では5月、17年12月施行の改正特定商取引法で初導入された業務禁止命令(※以下禁止命令)の執行が、2件立て続けに行われた。禁止命令の対象となったのはどちらも、業務停止命令を受けた法人の代表や従業員だ。今年度(18年4月〜19年3月)に入ってから特商法に基づく業務停止命令が出されたのはこの2件のみ。停止命令を受けた案件の全てにおいて、禁止命令が併せて出されたことになる。大阪府は「今後も特商法の要件が適用される事業者があれば、大手企業に対してであっても、積極的に禁止命令を行っていく」(消費生活センター)と話しており、国による処分も含め、禁止命令の執行が増えていきそうだ。

《禁止命令の一番乗りは福岡県と大阪府》

 福岡県は5月11日、不実告知をして、学生らにエステサービスの契約を結ばせていたとして、エステ事業者に対して、3カ月の業務停止命令を行った。同命令と併せて、代表と相談役会長の個人二人に対する業務禁止命令も行った。改正法施行後、禁止命令が出されたのは初めてだった。
 福岡県の消費安全課によると、「禁止命令の対象となった相談役会長は、停止命令の対象となった会社とは別に、エステサービスを提供する法人を休眠状態で有していることが分かった。業務停止命令だけでは、別の法人で業務を再開して、同様のトラブルを招く可能性があることを考慮して、業務禁止命令を適用した」と話している。
 一方、大阪府は5月24日、ダイビングショップを運営する事業者に3カ月の業務停止を命じた際に、代表取締役と従業員の二人に対して、禁止命令を行った。
 処分を受けた事業者は、SNSのメッセージ機能で消費者を誘引。ダイビング講習の契約の勧誘があることを告げずに、通常必要とされる回数以上の契約をさせたとしている。
 処分を行った大阪府では、「従業員は、業務停止処分の要件に密接にかかわっていたため、業務禁止処分の対象とした。法人に対して業務停止処分を行っても、個人事業主として同様のトラブルを引き起こす可能性があり、それを防ぐのが改正法の主旨だと理解している。今後も、積極的に禁止命令の執行を行っていく考えだ」(消費生活センター)としている。


《大手企業も業務禁止の可能性》

 地方自治体による業務禁止処分は、業務停止処分と同様に、その自治体内でしか効力を持たない。例えば、大阪府で禁止命令を受けた個人が、隣の兵庫県で同業を立ち上げることは可能だ。この点について大阪府では、「事業者の規模などを考慮し、今後のトラブルが広域に及ぶと判断した場合は、近畿経済産業局に、業務停止及び業務禁止命令の要請を働きかける」としている。経済産業局が処分を行った場合、効力が全国に及ぶことになる。

(続きは、「日本流通産業新聞」6月21日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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