【千原弁護士の法律Q&A】232 「22歳未満との取引が不可に」と聞いたが?

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”法改正の有無に関わらず対策は急務”

(質問)
 弊社はネットワークビジネス(NB)を主宰しており、もちろん特定商取引法の適用会社です。20代の若い方との取引もあります。今度、特商法の改正で、「22歳を過ぎないと、取引が出来なくなる」と聞きました。これは、どういうことでしょうか。また、いつ頃からの話でしょうか。              (NB会社社長)


(回答)
 ややご理解が不正確ですが、そのような話が出ているのは事実です。前提として、以下に説明する3点を理解していただく必要があります。
 (1)現在、民法改正が議論されており、その中で成人年齢を20歳から18歳に引き下げるプランが出ています。
 (2)民法では、未成年者が法定代理人の同意を得ずに行った法律行為については、取り消すことができるとされています。民法改正がされれば、18歳以上の行為は取り消せないことになります。
 (3)若い消費者の保護を、この民法改正と合わせて考える必要があるのではないか?という問題意識が出ています。
 その中で、2017年1月付で、下記の概要の成年年齢引き下げ対応ワーキング・グループ報告書が公表されました。その中で、「望ましい対応策」として、以下の概要を発表しています。
 (1)18歳~22歳までを「若年成人」として、消費者被害の防止・救済の観点から対応策を取る。
 (2)消費者契約法について、若年成人等を対象とした取消権を設ける。
 (3)「若年成人」が、特商法が禁止する「老人その他の者の判断力不足に乗じた契約締結」の規定の対象であることを明文化する。
 などです。ご懸念にあるように、特商法や消費者契約法の改正によって、22歳未満との取引が規制される可能性はあります。
 ただ、これは、基本的には民法改正とカップリングされた議論であり、改正がある場合、2020年頃からの話と考えられ、この法律改正自体への対応は、当面必要ないと思います。

(続きは、「日本流通産業新聞」3月2日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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