ネットワークビジネス(NB)主宰企業の報酬計算代行、コンサルティングなど総合支援サービスを提供するパナシア(本社大阪府)の柴山正支社長は、23年のNB業界の見通しとして、コロナ禍の行動制限が完全に撤廃されることで、リアルでのイベントやインセンティブツアーが再開されて、ビジネス活動がより活発化すると予想している。業界が抱える課題や見通しについて柴山社長に聞いた。
─22年のNB業界を振り返ってどうか。
当社のクライアントを見ていると、コロナ禍で大きく変化した企業はないように感じている。NB業界に対する社会的な印象は別にして、サラリーマンなどの給与は上がりにくく、値上げを含めたさまざまなコストが増加するなかで、もう一つの仕事を作って新たな収入源を得ようと、NBに参画する人が多くなっている。
特に、コロナ禍で、副業に対するイメージは大きく変わった。必要に迫られて副業をするという人が増えて、その選択肢の一つにNBが確実に入ってきている。
─20~30代の副業への関心が高まっている。
ひと昔前のNBに対するイメージは、20~30代にはあまりないような印象を受ける。その背景には、悪質企業が市場から排除され、以前に比べれば市場が健全化していることが挙げられる。
私は、クライアントの比較的若い会員が多い企業で会員と接する機会が多い。国や地方自治体などは、注意しなければならない商取引の一つとしてマルチ商法を例に挙げて、消費者教育を行っているが、新規会員はきちんと理解した上で参画をしている。若年層は、知識や経験がないと決めつけずに、主宰会社がきちんとコンプライアンス教育をすれば、行政が懸念するようなことは防ぐことができるはずだ。
クーリング・オフについても、契約者本人ではなく、その家族から依頼されるケースが増えている。本人は意欲を持って取り組みたいと思っても、家族による反対が目立っている。NB=マルチ商法、つまり悪質な取引と長年に渡って行政のプロパガンダによって植え付けられた世代から見ると、子どもが関わっていることに反対する傾向にある。きちんと主宰会社のことを調べて、本人から意見を聞いたうえで対応して欲しい。頭ごなしに否定するのはどうかと思う。
─NBの立ち上げの傾向についてはどうか。
コロナ禍でも意欲的に立ち上げようという案件が目立っている。業界未経験では難しいとはっきり伝えると断念するケースもあるが、流通形態に魅力があるということを感じている。
また、NBはあくまで品質の高い製品を基本に、愛用する会員を募っていくという姿勢が重要だ。ビジネス志向も組織を広げるためには必要だが、製品が欲しい、製品を愛用したいという気持ちが最も大切な要素だ。
─製品開発に対する主宰会社の投資も活発だ。
(続きは、「日本流通産業新聞」2月2日号で)
【どうなる!?2023年 有識者に聞く】(1)<ネットワークビジネス編> パナシア 柴山正支社長/コロナの行動制限撤廃でビジネス活動活発に(2023年2月2日号)
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