テレビショッピング最大手であるジュピターショップチャンネルの21年3月期売上高は、前期比1.4%減の1610億5200万円だった。新型コロナウイルス感染予防のため、ライブ放送時間を短縮したことが影響した。今期は過去最高の売上高更新を最低限の目標に掲げている。アフターコロナを見据えた営業展開や、今期から始めている新規事業への取り組みなどについて、新森健之社長に聞いた。
■昨年4、5月は約2割の減収に
─前期の業績要因からうかがいたい。減収理由は20年4―6月期(第1四半期)の売り上げが影響したようだが。
それに尽きる。前期は4、5、6月の第1四半期で売上高が前年同期比を下回った。7月以降の9カ月間は、トータルで前年同期の売上高を上回っている。第1四半期で減収となった理由は、新型コロナウイルスによる感染拡大を予防するため、4月12日から6月4日まで24時間の生放送を7時間に減らしたためだ。スタジオにはたくさんの人が出入りするため、万が一、コロナの影響で感染が広がったら放送できなくなる。それだけは避けるということで、八つぐらいにブロックを分けて運営体制を改めた。その体制で可能な生放送が7時間だった。売り上げや営業は犠牲にしてでも、取引先や従業員の健康と感染対策を優先した。生放送をしていない時間帯は再放送を流したが、在庫の関係もあり、すべての番組を再放送することはできない。そのような環境となったことから4、5月の売上高が約2割減となり、第1四半期の売り上げに大きく影響した。
─7月以降の9カ月間が増収で推移したいのは健闘したのでは。
特別定額給付金として政府から10万円支給されたのが、6~7月の家電販売につながったりしてスポット需要はあったと思う。というのも、第2四半期の7―9月の売上高が前年同期比で一番良かったからだ。巣ごもり需要でフード関係の売り上げは前年比1.2倍だったし、巣ごもり用のホームウエアとか布団系、生活雑貨関連、家電が売れた。一方、ハレの日に利用されるような外出用のファッションとか服飾雑貨、コスメは苦戦した。巣ごもりの影響で番組を視聴されるお客さまも増えており、新規のお客さまは前期比10.2%増加した。リピート顧客を含めた全体の顧客数も同4.7%増えた。
■自社カード発行 後払い決済対応
─決算公告によると、営業利益、経常利益、当期純利益はそれぞれ2桁減だった。売上総利益率が前の期と変わらなかっただけに、販管費率の上昇が影響したようだが、この理由は。
(続きは、「日本流通産業新聞」8月5日・12日合併号で)
【ジュピターショップチャンネル 新森健之社長】 TV通販はインフラの1つに(2021年8月5日・12日夏季特大号)
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