【ワタミ 宅食営業本部長 大根田淳 氏】販売員のスキル向上で差別化

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 ワタミが手掛けるシニア向け宅配事業が苦戦している。17年3月期まで3期連続の減収となっており、新規顧客獲得に課題を抱えている。販売員「まごころスタッフ」へのさまざまな表彰制度を設けることで、モチベーションにつなげ、打開を図ろうとしている。競合他社がひしめくシニア向け宅配業界で「人で差別化していく」と話す、大根田淳宅食営業本部長に聞いた。

 ーーー減収傾向が続いている。要因についてどのように見ているか。

 競合他社が多くなっていることで、ユーザーの選択肢が増えているということだ。新聞折り込みチラシの出稿量で見れば生協が多い。当社は、レスポンスが低下していることを踏まえ、新聞折り込みチラシの出稿量を減らしている。
 今期(18年3月期)は、新規顧客獲得と同時に、以前利用のあったお客さまの掘り起こしを進めている。離脱した理由を分析すると最も多い理由が「必要がなくなったから」というものだった。これに次いで多いのが金額的な面だ。ある調査ではシニア世代が1日に使える食費は1000円だった。これを踏まえると、1食500~600円の当社の商品は負担が重い。継続利用で飽きるという点もあり、こうした課題を解決していく必要がある。以前はこうした離脱があっても、新規顧客が獲得できたことで業績に影響しなかった。

 ーーー「会員制度」を導入し、既存顧客に対する施策を押し出している。

 18年3月期は、既存顧客の囲い込みを図ることで継続率を高めている。また、シールをためて商品と交換できる「宅食チャレンジ」を継続し、商品ラインアップを再編して、顧客層の拡大を狙う方針で進めている。
 会員制度を導入し、通販の「ハルメク」と共同で会報誌兼通販カタログ「宅食らいふ」(発行部数23万部)を発行している。試行錯誤の段階で、当初の想定よりは良くない。お客さまのニーズを取り込めていないのが課題となっている。ただ、「まごころスタッフ」の積極的な声掛けが販売につながっている。

(続きは、「日本流通産業新聞」10月12日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ