【アマゾンジャパン Amazonフレッシュ事業本部リテール事業部 事業部長 荒川みず恵 氏】最大の課題は梱包と品質管理

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 アマゾンジャパンは17年4月、生鮮食品を扱うAmazonフレッシュのサービスを始めた。アマゾンプライム会員向けのサービスで、17年10月現在、都内18区と千葉・神奈川の一部地域を配送対象エリアとしている。取扱品目は野菜や果物、肉、魚などの生鮮食品約1万7000品目と、日用品などで、合計10万点を超える。生鮮食品は品質管理や梱包などに課題が多い。Amazonフレッシュでも、いかに品質を維持したまま顧客の手に届けるかが最大の課題で、試行錯誤を繰り返しているという。Amazonフレッシュ・リテール事業部長の荒川みず恵氏に、Amazonフレッシュ稼働から半年の感触を聞いた。

 ーーー顧客の利用状況について聞きたい。

 Amazonフレッシュの配送対象エリアは順調に拡大してきており、エリア拡大に伴ってお客さまの数も増えてきている。反響もたくさんいただいている。
 キュウリやタマネギ、牛乳、卵、豚の細切れといった、いわゆるスーパーマーケットでお客さまが買う野菜や日用品が、Amazonフレッシュでも売れ筋の上位に上ることが多い。ネットだから特別何か売れるものがあるというわけではなく、一般のお客さまはスーパーと同じ感覚で利用しているという感触だ。
 お客さまのデータを取っているわけではないので私の個人的な感覚だが、どの配達時間枠も満遍なく利用されているようだ。午前中や12―14時に受け取っている人もいるが、恐らく日中自宅にいることの多い主婦や高齢者かもしれない。夜遅い時間帯に受け取っている人には共働き世代が多いのだろう。
 現在商品数は1万7000品目を扱っている。これからは商品数を何倍にも増やしていくというよりは、鮮度や旬を意識した品ぞろえを増やしていきたいと考えている。
 現在、火曜日と金曜日は「新鮮市」というイベントを行っており、朝採れ野菜やその日さばいた魚を扱っている。野菜は配送拠点である川崎市高津区の農家と契約し、朝採れ野菜をそのまま倉庫に持ってきていただいている。12時までに注文いただければ、最短でその日の夕方16時から受け取っていただける。鮮魚については契約した水産業者に、その日の朝に築地で加工して川崎の倉庫まで持ってきていただいている。

 ーーーサービス稼働後に感じた課題は。

 梱包と品質管理が最大の課題だと感じている。
 入荷時の検品は、専門性の高いスタッフが行っており、入荷時に質の悪いものは、返品するようにしている。商品のピックの作業も梱包作業も、壊れやすいものは上にするなど、順序をしっかりと決めて行うようにしている。お客さまに届くまでに何度も人の目や手によるチェックが入るようにしている。
 これは今までのAmazonが経験してこなかったことだ。これまで取り扱ってきた本や家電であれば、ロングテールの販売方法ができるが、生鮮食品は倉庫で保管できる期間も短いし、品質の管理にももっと気を配らねばならない。これまで私たちがやっていたことでは通用しないことが本当に多い。それを毎日のように改善している。

(続きは、「日本流通産業新聞」10月12日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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