1973年創業の老舗健康食品販売企業のベルエアー(本社東京都、松代光社長)は16年12月に、「クリクラ」ブランドの水宅配事業などを手掛けるナックの傘下に入った。傘下入りと同時にベルエアーの新社長に就任した、ナック出身の松代光氏に現在の状況などについて話を聞いた。
ーーー松代社長の略歴から聞きたい。
ナックでは、取締役上席執行役員レンタルビジネスカンパニー代表やダスキン事業部長を歴任したが、16年4月1日付でナックの顧問に就任し、取締役からは退いていた。ベルエアーの社長には、ナックの傘下に入った16年12月に就任。ベルエアーの創業者である浅田幸彦氏には、名誉会長という位置づけで、ベルエアーの顧問を務めてもらっている。
ーーーナックがベルエアーを買収した目的は。
ナックという企業は、「家を買って掃除して水を飲んだ。それぜんぶナックです」というキャッチコピーにもあるように、日々の暮らしにおける「役立ち」を総合的に提供する企業だ。宅配水や掃除用具のレンタル、注文住宅や分譲住宅の販売など、幅広い事業領域をカバーしている。
世の中の流れとして、少子高齢化が進んでいる。
社会行動が変わっていく中で、いろいろなサービスを提供しなくてはいけない。高齢者にとっての最大の関心事は「健康」だろう。「健康寿命の延伸に資するサービスを提供していかなくてはいけない」という考えから、ナックは、健康食品を取り扱う当社を子会社化した。ナックでは16年4月から独自の健康食品ブランド「メディクラ」を立ち上げるなどの取り組みを進めており、健康食品企業を取り込むのは自然な流れだと思う。ベルエアーとしては、ナックグループの、健康分野において大きな役割を担っていくことになる。
■グループ内の生産などを集約する可能性も
ーーーナックグループで健康食品を販売するのは、健康食品ブランド「メディクラ」を展開するナック本体、通販企業のJIMOS、そしてベルエアーの3社となるがすみ分けは。
今の状況からすると、販売先がそれぞれ異なる。当社やJIMOSは既存のお客さま向けに、「メディクラ」はクリクラのお客さま向けに、それぞれ健康食品事業を展開している。当面は、こういったすみ分けで展開していくと思う。ただ、当社がグループ内で存在感を示していくことができれば、生産の集約のようなことを行う可能性は出てくるのではないか。
ーーーベルエアーはネットワークビジネス(NB)企業だと認識しているが、ナックで「通販事業」に分類されているのはなぜか。
ベルエアーは「QOL倶楽部」というブランド名で健康食品通販も手掛けている。そうしたこともあり、ナックの今ある事業セグメントのいずれかに分類しようとしたときに「通販事業」が適当だと判断した。NBの販売方法から撤退していくということではない。私個人の考えとして、人から人へと口コミで良い商品を伝えていくというNBの販売方法は理に適ったものだと思っている。高齢化がさらに進んでいく中で、重要性が増していくビジネス形態だと認識している。
ーーーグループ内企業間のシナジーについてはどのように考えているか。
ベルエアーの会員向けにJIMOSの化粧品を案内したり、メディクラのお客さまに当社の健康食品を紹介したりする取り組みは徐々に始めている。大きなシナジーが生まれるのはこれからだと思う。
(続きは、「日本流通産業新聞」9月7日号で)
【『ナックの傘下に入った』ベルエアー 松代光 社長】健康分野の大きな役割担っていく
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