テレビ通販最大手であるジュピターショップチャンネル(本社東京都)の新社長に、4月1日付で田中惠次氏が就任した。田中社長は住友商事時代、アパレルや小売りを担当した経験がある。創業以来増収を維持するショップチャンネルのかじを、どのように取っていくのか。田中社長に抱負を聞いた。
■前年を超える手応え
ーーー住商時代はリテールやファッション、メディア関連事業を経験されています。通販とも関わりがあったのですか。
「09年に当時のアシェット婦人画報社と一緒に、ファッション雑誌『ELLE』と連動したEC『ELLE SHOP』を立ち上げた。住商ライフスタイル・リテイル事業本部の管轄では、爽快ドラッグ(日用品EC)、サミット(食品スーパー)、トモズ(ドラッグストア)、ファッションブランド事業、そして何よりも10年4月から6年間、ショップチャンネルの非常勤取締役を務めた。この10年間は通販を含め、ずっと小売りを担当しているイメージだ」
ーーーショップチャンネルに来られた印象は。
「非常勤取締役として株主の立場からずっと素晴らしい会社だと思っていた。そこに縁をいただいたので、自分自身、やりがいがあると思っている。ショップチャンネルは昨年、創業20周年記念によって非常に好調な業績を残すことができた。お客さまへの感謝を込めたさまざまなイベントを行い、社員が200%の力を注いだことが成果につながったのだと思う。周年イベントは通常特需になりがちで、そういう意味で今期は厳しいと覚悟していたが、4月、5月もまずまず調子がいい。昨年の努力によってお客さまに支持をいただき、そのお客さまが継続して利用くださっているイメージだ。20周年のつもりでやり続けることによって、昨年を超えることができるのではないかという手応えがある」
■新開発商品を投入
ーーー終わりがないですね。
「4月3週に、全社員に向けた17年度の方針説明会があった。その場で16年度を踏まえた今期の戦略を話した。16年度の20周年は、お客さまの数がすごく増えた。新規のお客さまの中にはテレビだけでなく他媒体からも来てくださっている。ということは、統計上のテレビ通販市場規模は横ばいだとしても、ショップチャンネルをご存知ないお客さまにテレビを見ていただくようにすれば、理論上はもっとたくさんのお客さまがいらっしゃることになる。ショップチャンネルが攻めている市場はとてもニッチだが、テレビ通販市場という狭い見方ではいけないということを20周年は教えてくれたのではないか。お客さまが買い物をする場所や方法は変わってきている。つまり、お客さまとのコンタクトポイントが今まではあまりにも単一だったのかもしれない。そのあたりをもっと強化する。後に『20周年を迎えた16年度というのは、今後さらに成長していくためのターニングポイントだった』と評価されるかもしれない。その機会を生かすも殺すも今年かもしれない。要するに将来の成長に向けた基盤を固められるか、それとも特需で終わったということになるのかは、われわれの努力次第というようなメッセージを伝えた」
ーーーそれは当面の経営方針とも重なることでしょうか。
(続きは、「日本流通産業新聞」6月29日号で)
【ジュピターショップチャンネル 田中惠次 社長】創業以来増収を続ける/成長に向けた基礎固めの年
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