ファンケルが機能性表示食品を積極的に展開している。機能性表示食品は現在10商品を発売しており、17年3月期の売上高は、ダイエットサプリメント「カロリミット」シリーズが年間75億円、アイケアの「えんきん」は同55億円をそれぞれ計画している。4月1日付で執行役員マーケティング本部副本部長兼健康食品事業部長に就任する若山和正氏に、ファンケルにおける機能性表示食品の状況などを聞いた。
■シニア層向けに機能性表示提案
ーーー18年3月期を最終年度とした中期経営計画(中計)が進行中です。中計最終年度の栄養補助食品による売り上げ計画は460億円ですが、進捗状況はいかがですか。
「16年度は期初計画には至らないが、前年度比では2桁の伸長で推移している」
ーーー中計の製品戦略では中高年層の開拓がありますが、シニア層の獲得はいかがですか。
「機能性表示食品『えんきん』の売り上げが増えたことによって、中高年のお客さまの割合が増加している。『えんきん』の今期売上高は約55億円の計画だが、中高年のお客さまを獲得できており、商品を利用する継続率が非常に高くなってきた傾向にある。従来のようなダイエット系やビューティー系のサプリメントだと、比較的若いお客さまを獲得できるが、継続率の維持が課題となっていた。中高年層にフォーカスして、そこに機能性表示食品を提案することによって、新規のお客さまが増えると同時に、継続率が高まるという好循環につながっている」
■20~40代向けに「スマホえんきん」
ーーー中計ではダイエットサプリメント「カロリミット」に次ぐヒット商品の育成も盛り込んでいますが、「えんきん」はその役割を果たしているようですね。ちなみに「カロリミット」の今期売上高見通しは。
「『カロリミット』と『大人のカロリミット』の合計で75億円の計画だ。前期比で見ると『カロリミット』シリーズが約10%増、『えんきん』で約50%増となる。両商品が高い売上高構成比を占めているため、この2大ブランド商品をいかに維持、成長させていくがポイントとなる。『えんきん』は3月17日、『スマホえんきん』というシリーズ商品を発売し、疲れ目対策として20~40代のお客さまに訴求していく。『カロリミット』については、『大人のカロリミット』が機能性表示食品として受理されたので、今後リニューアル発売する予定だ」
ーーー「カロリミット」や「えんきん」のヒットを見ていると、ファンケルにとって機能性表示食品制度はメリットとなっているようですね。
「非常に大きい制度だ。もともと、サプリメントに関する安全性や機能性にこだわり、以前から研究および商品設計に生かしていた。それだけに、機能性表示食品制度ができたことは大きく、従来はしっかりとした働きがあっても言えなかったことが、自分たちで臨床やシステマチック・レビューによって科学的根拠を取ったものについてはヘルスクレームが書けるようになった。これは当社にとって追い風となっている」
ーーー機能性表示食品として発売している商品数は。
「10商品だ」
ーーー「カロリミット」「えんきん」以外の機能性表示食品の販売状況はいかがですか。
「かなりいい数字で推移している。もちろん商品によって差はあるが、機能性表示食品としてリニューアル後は、従来の1.2倍から8倍の売り上げに達している」
(続きは、「日本流通産業新聞」3月30日号で)
【ファンケル 執行役員マーケティング本部 副本部長兼健康食品事業部長 若山和正氏】機能性表示食品が追い風/新規獲得と継続率が増加
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