ダスキンは、9カ年の長期経営戦略「ONE DUSKIN」に基づき、クリーン・ケア事業の会員サイト「DDuet(ディーデュエット)の会員拡大やレンタル商品のポスト返却サービスの導入、カード決済の提案を推し進め、多様化する顧客ニーズの取り組みを図っている。17年3月期は、シニア層の開拓を狙い、埼玉県和光市に専用の窓口を設置。ショッピングセンター(SC)や郵便局、携帯電話ショップに体験スペースを設けて、顧客接点を広げる動きも活発化させている。山村輝治社長に聞いた。
ーー16年3月期のクリーン・ケアグループは増収増益だった。
家庭市場向けは増収に転じることはなかったものの、解約率が下がってきた。カード決済やポストでレンタル品を返却できる仕組みを導入したことで、販売員が訪問しても会えなかったお客さまにアプローチができ、継続的な利用につながったものと考えている。
共働き世帯が増えて、家事代行を手掛ける役務サービスのニーズが高まる一方で、在宅率の低下でモップの定期的なレンタルが難しくなってきた。
ドアツードアでの新規開拓は、100軒訪問して1軒会えるかどうかだと思う。そこで、人が多く集まる場所、郵便局やSCの一角を借りてデモンストレーションを行うことが多くなってきた。以前は「全軒訪問」を目指してきたが、現在は前述のイベントからの新規開拓が定着してきた。
ーーSCなどでのイベント開催は、本社が主導するのか。
イベントを開催する場所については、各拠点が独自に開拓している。テナント料を支払ってでもイベントをやる価値がある。新規開拓の方法のひとつだ。
ーーモップのレンタルが苦戦している一方で、家事代行やエアコンクリーニングなどの役務は好調だ。
役務サービス関連の売上高は毎年3%前後で年々増えており、ニーズの高さを感じている。競合他社の業績も好調だが、お客さまが期待する成果を生み出せるかが差別化の要素になっている。どんな人が掃除に来るのか、服装や髪形が清潔なのか、接客やマナーの研修を受けた人が来ればお客さまも安心して利用できる。
最近では、女性のサービススタッフが増えている。自宅に上がってもらうのは女性の方が安心ということもある。
ーー販売員やスタッフの接客での課題は。
お客さまから「技術が劣っている」というクレームはほとんどこない。あるのは、「態度が悪い」「ユニフォームが汚い」などのマナーに関することだ。技術のリカバリーはできても、人のリカバリーはできない。しっかり人に寄り添うような姿勢で接することが重要だ。
ーー政府が国家戦略特区で解禁した外国人による家事代行で、神奈川県での事業者「特定機関」に認定された。
働く女性が増えれば、家事代行のニーズは高まる。人材を確保するには外国人のスタッフも視野に入れなければならない。いかに外国人スタッフに対して、研修できるかが重要になるだろう。当面は、日本人スタッフに同行する形になる見通しだ。
外国人スタッフをお客さまが受け入れてくれるのか、社内的にはどのような研修が必要なのかを検証していきたい。
(続きは、「日本流通産業新聞」8月25日号で)
【ダスキン 山村輝治 社長】顧客接点を広げる動きも活発化/ターゲット絞り込んだ商材開発にも注目
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