【食品通販支援】 〈インタビュー〉リライズコンサルティング 中山裕介社長/企業の経営方針から再構築

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 食品通販企業のコンサルティングを行うリライズコンサルティング(本社大阪府、中山裕介社長)は、多くの、地方の食品メーカーの通販売り上げを、立ち上げから数年で数億円規模にまで成長させた実績を持つ、実力派のコンサルタント集団だ。同社のコンサルティングでは、販売方法を指導するにとどまらず、顧客企業の経営方針に深くかかわり、中長期的な通販の事業計画を立て、事業の再構築を指南する。こうした点が、成果を上げるコンサルティングの秘訣になっているという。同社の中山裕介社長に、同社の通販コンサルティングの秘訣について聞いた。

■自社サイトへのこだわり
 ─顧客にはどういった企業が多いか。
 顧客企業の約8割を食品メーカーが占めている。菓子や肉、加工品、酒などを製造しているところが多い。そのうち、BtoCの通販を立ち上げるケースが7〜8割、BtoBが約2割となっている。BtoB通販を立ち上げたいという依頼も多くなってきている。
 ─食品通販に特化しているのはなぜか。
 ある食品メーカーをコンサルティングしたときに、大きく結果を出すことができたのが、食品通販をメインにコンサルティングを行うきっかけとなった。熊本県の千興ファームという、馬刺しを主力に扱う会社の案件だった。その会社では馬の生産から、と畜、卸、飲食店の運営までを行っていた。通信販売のサイトを立ち上げたいという相談をいただき、当社が支援することとなった。
 通販サイトを立ち上げたところ、結果的に、商品の馬肉を安売りすることなく、年商5000万円を挙げるまでに成長させることができた。通販事業の人員は現在も、正社員一人とパート一人の計2人だけだ。
 この成功事例を機に、他の食品企業からも問い合わせを多くいただくようになった。
 ─自社サイトで売り上げを伸ばすことは難しいと考える企業も多いようだが。
 自社ECサイトの運営を、片手間ではなく、企業の中の重要な事業の一つとして位置づけ、それなりの覚悟を持って臨めば、自社ECサイトで大きな売り上げを立てることも可能だ。
 大手ECプラットフォームを利用しているネットショップは、月の売り上げが立たなかったとしても、月の赤字もさほど膨らまないため、「今月もこんなものか」と、見過ごしてしまいがちだ。つまり、ECに対する覚悟を持っていない企業が多いのだ。
 われわれのコンサルティングでは、ホームページの作成や、サイト内での売り方の指導を行うだけではない。まずは、事業計画を作成し、「新規事業として、全国に向けたお店を作る」という意識を経営者に持ってもらうことから始めている。
 新規事業となると当然投資も必要だ。依頼を受けた段階で、「2000万円を用意してください」と、経営者に伝える。それだけの額を銀行から借り入れて取り組むという覚悟が必要だと考えている。

■経験者は採用しない
 ─新規事業として、通販事業を立ち上げる際のポイントは。
 通販事業を統括する人員をきちんと選定できるかどうかが、最大のポイントだと考えている。ネットショップの店長を決定するとき、当社では経験者を採用しないようにしている。経験者とは、ネットショップの店長の経験者だけでなく、インターネットに詳しい人なども含む。
 ネット通販は時代の流れに伴って変化している。過去の経験に捉われず、”今”の形に合った方法を素直に取り入れられる人材こそが、ネット通販事業を成長させることができる人材だと捉えている。

■粗利50%を実現
 ─販売方法について、貴社のコンサルティングのポイントを伺いたい。
 通販で商品が売れない会社の共通点として、「担当者が商売人でない」「お取り寄せに値しない商品を販売している」ということがある。例えば、「なんとか売ろうとして値引きから始める」ということは、間違った販売方法といえる。
 そもそも消費者は、近所でも購入できる安い商品は取り寄せしない。商品に付加価値があれば、高い商品でも取り寄せたいと思うものだ。商品自体も、より生産者や生産地に近いものが求められる流れとなっている。われわれは商品の値段設定の段階で、”粗利50%”を実現できる付加価値のついた商品を作るようアドバイスしている。
 また、お試し商品を販売する場合には、その商品を使うことが”クセ”になるくらいの量を提供する必要があると考えている。例えば「お茶」の商品であれば、その家庭の定番となるまで使えるだけの量を、お試しとして提供するべきだろう。
 ─物流コストの増加を懸念する企業も多いが、送料についてはどう考えるか。
 送料に関しては、消費者の意識が変わってきていると感じる。「お取り寄せするには送料は必要なものであり、価値のあるものは送料を払ってでも欲しい」と考える人が増えているのではないか。送料無料にこだわる必要はない。自信を持って商品を提供している食品通販企業は、自信を持って送料を値上げしてよいだろう。
 ─セミナーを無料で行っているということだが。
 当社はこうしたノウハウを提供するセミナーを、無料で開催している。1回のセミナーに1社2人まで参加できる。セミナーをきっかけに、当社と縁を持ってほしいという思いがあり、ノウハウも隠すことなく提供している。ぜひ、多くの経営者やネット通販担当者に参加していただきたい。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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