【食品宅配 インタビュー】 日本生活協同組合連合会 執行役員・事業支援本部 佐藤一之本部長/他の追随を許さない営業集団

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 日本生活協同組合連合会(本部東京都)は、対面販売の強みをさらに生かすため営業職員や配送スタッフのスキルアップを目指した独自のコンテストを開いている。数年前からドアツードアの新規組合員獲得コンテストを開催。昨年からは、配送スタッフを対象とした応対コンテストも始めた。日本生活協同組合連合会の執行役員で、事業支援本部長の佐藤一之氏にコンテストに取り組む背景や狙いについて聞いた。

 ─ここ数年、営業職員や配送員のスキルアップに積極的な理由は。
 これまで新規組合員の獲得コンテストを実施してきた。全国の地域生協の代表者を集めたコンテストを毎年2〜3月に開催している。ドアツードアで訪問し、各地域生協の仕組みを説明し加入件数を競うコンテストだ。事業連合単位で約120人の営業職員が参加している。
 開催する地域は持ち回りで決めている。全国の地域生協では、営業や応対について独自にスキルを高めるための研修を行っている。何人加入できたかや見込み客の情報を何件獲得できたかということが指標になる。
 新規組合員獲得コンテストでは、複数人(4人1組)で構成するチーム単位で行うため、優秀な人のスキルをじかに学ぶこともある。他の追随を許さないような生協の営業集団を作ることが目標だ。
 全国大会に進出するため、地域生協や事業連合ごとの予選会なども行っており、モチベーションの一つになっている。
 ─営業コンテストはどのように実施しているのか。
 平日の木・金・土に2泊3日で実施し、獲得コンテストのほか、外部講師を招いて営業研修を開催している。前回開催時は、1日半で9人を獲得したコープデリ連合会所属のパート職員が優勝した。大会全体では220件の新規加入(利用再開含む)があった。前回開催の広島地区では在宅率が2割と言われる中ですごい記録といえる。
 優勝したスタッフと、上位入賞者には、その大会後の集合研修でどのようにトークを展開するのかを講演してもらう。成功体験を共有することで研修を締めくくっている。
 ─昨年からは、応対コンテストも新たに始めた。狙いは。
 昨年から「全国配達応対コンテスト」を始めた。昨年11月には全国20生協で26人が参加して開催した。配送員の接客スキルを高めて、継続利用を促すことを目的にしたコンテストだ。昨年は120万人の加入に対し、約100万人が離脱しており、いかに継続利用をしてもらうかが重要になっている。
 大会の会場には、生協に加入して初めての配達というシチュエーションで、70代の高齢者夫婦の組合員世帯と30代の子育て世代の2パターンでスキルを競う。10分ほどの間で、第一印象や身だしなみ、説明などを含めた評価を行っている。
 ─地域生協の大手や事業連合の代表者を集めた会議を定期的に開催している。
 理事会の専門委員会として「宅配事業委員会」という会議を年3回開催している。全国の宅配事業政策を討議して決めている。この会議で接客大会などの運営体制の内容について決めている。
 ─生協でも新規組合員獲得は年々難しくなっているのか。
 1人当たりの獲得コストは2万5000円を超えている。日生協では、在宅率の低下に加え、「訪問営業お断り」といったステッカーを貼っている家には訪問できず、会うことができない消費者が多くなった。一方で、ウェブ完結加入を積極的に展開している。日生協のホームページに、資料請求サイトを設け、全国の地域生協につないでいる。
 競合他社が生協に近いようなビジネスモデルに参入してきている。その中で生協の強みは組合員との関係性だ。顔を知っていて、名前で呼ぶことができる関係性は宅配業者にはできない強み。これを再認識してもらうことも大きな役割だ。コンテストに出場することでもモチベーションになる。こうした取り組みで生協の強みを磨き上げていきたい。


【企業データ】
 設立 1945年
 供給高(売上高) 18年3月期 全国125生協の宅配事業は前期比1・0%増

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

食品宅配売上高ランキング 特集記事
List

Page Topへ