【食品宅配 インタビュー】 シニアライフクリエイト 高橋洋社長/地域の信頼高めて業績も順調推移

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 ファミリーマートの子会社で、「宅配クック ワン・ツゥ・スリー」をフランチャイズ(FC)展開するシニアライフクリエイト(本社東京都、高橋洋社長)が順調に業績を伸ばしている。離島や過疎地域で積極的に加盟店の出店を進めているほか、地域のケアマネジャーや消費者に対して食事の栄養の重要性に関する勉強会を開いて接点を広げることで地域の信頼を高めている。高橋洋社長に業績が好調な理由と今後の事業展開について聞いた。

 ─18年2月期業績も順調に伸びている。増収要因について聞きたい。
 順調に加盟店が伸びたことに加え、最近では離島や限界集落といった過疎地域にも積極的に出店していることが成果を上げている。この8月までにFC加盟店は350店に増えている。
 加盟店として、地域のインフラ事業の一環として介護事業者や、調剤薬局などの本業とのシナジー効果を見込める企業も増えている。
 過疎地域に関しては、本社のバックアップ体制とともに黒字化を目指し、将来的には地域に安定的な食事の提供ができるような体制を目指していく。
 ─加盟店の販売食数も順調に伸ばしている。
 1人当たりの月間の平均購入単価は1万4000円ほどで、前年と比較し10%ほど上昇している。利用者の生活の一部に組み込まれてきたという印象だ。
 最近では、高齢者の免許の返上なども進み、買い物に不便を感じている人が年々多くなっている。こうした人に対して、まずは食事から提供することでニーズを確保している。
 ─新規顧客開拓についてはどうか。
 ケアマネジャーからの紹介を得ることで当社の管理栄養士が講師になって、地域の高齢者を交えた栄養の勉強会や試食会など「一日サロン」を開催している。今期は年間で350回の開催を予定している。これらは当社の地域のFCを管理するスーパーバイザー(SV)が担っている。開催回数を来期に倍増することを目的に、管理栄養士も増員する方針だ。
 また、地域のシニアを集めたコミュニティーサロンなどで、試食会やちぎり絵教室の開催などを行い顧客接点を広げた。また、遠方に住む家族からの資料請求も増えてきている。10%の伸び率から考えれば着実に成果を出している施策だ。
 ─加盟店に対してどんなことを求めているのか。
 地域の信用と信頼を高めることで、生まれ育った地域で一日でも長く生活をしていきたい人に対して役立ててもらうことが重要だと考えている。また、地域医療では、病院のベッド数の減少や介護施設の入居待ちなどに伴い、自宅で過ごす人のための安否確認を含めたサービスの提供を進めていきたい。
 ─19年2月期の状況についてはどうか。
 順調に伸びており、期初の計画を上回る勢いで、FC合計では160億円前後で伸びている。安否確認を含めた付加価値サービスを前面に押し出すことで利用につながっている。
 ─対面で届けることを重要視している。
 我々は、ただ商品を配達する仕事ではなく、お客さまに会いに行く仕事であることにこだわりを持っている。
 地域のFCが順調の食数を伸ばしている理由は、地域の信頼を得て、地域に根差した営業を行っていることに尽きる。ただの弁当屋では他の企業と競合になる。そうではなく、機能性を評価されて支持されれば、利用拡大につながる。
 ─買い物代行についての考え方は。
 生活の宅配の観点から、一人一人の属性や体調などを把握したうえで、こちらから適切な提案ができるようなものにしていかなければならない。
 こうした考え方で買い物代行を実施している地域の食品スーパーを経営している加盟店がある。例えば、商品チラシを家に置いていって、ここから選んでくださいという考え方では成り立たないだろう。毎日顔を合わせている配送スタッフが状況を汲み取って代行するやり方が望ましい。
 ─高齢者向け宅配市場の見通しをどうみる。
 当社がターゲットとする市場はますます拡大するものと考えている。19年2月期には、コミュニティーサロンのような集える場所をニーズの高い過疎地域で展開していきたい。このサロンを主軸に、地域の商店街と一緒に取り組めば、生活支援業として日常的な宅配へとつながっていくとみている。


【企業データ】
 設立 1999年
 売上高 18年2月期は142億円(FCグループ合計)
 取扱商品 高齢者向け宅配弁当

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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