本紙が実施した食品通販売上高調査によると、17年度の食品通販売上高は90社合計で4244億2900万円だった。昨年と比較可能な企業17社の合計売上高は49億4900万増の962億100万円。実質成長率は5.4%だった。おせちの需要が伸びたことを増収の要因に挙げる企業が多かった。
首位のアマゾンの食品部門の売上高は本紙推定で500億円。アマゾンは、国内の大手食品メーカーとアマゾン限定の商品を共同開発したり、アマゾンのPB商品を開発したりして、食品(消費財)カテゴリーの販売を強化している。18年に入ってからは、アマゾンのPB商品が頻繁に売れ筋商品のランキングに登場するようにもなっている。消費者が日常的にアマゾンを利用してもらえるよう、囲い込みを進めている。アマゾンでも、おせちの販売を強化しており、売り上げも年々増加しているという。
3位のオイシックス・ラ・大地は今回の調査から、「Oisix(オイシックス)」ブランドの売り上げと、「大地を守る会」のEC売上高の合算数字となったため、前期比73.7%増という大幅な増収となった。「オイシックス」はミールキットが好調で、18年3月末時点のキットの会員数は7万1000人になったとしている。オイシックス全体の定期会員数は前期比23.5%増の16万9664人。
おせちの販売が好調だったことを増収の要因として挙げる企業が多かった。6位のベルーナでは、売れ筋の三段重のセットの累計出荷数が、21万5000台となったとしている。18年3月期のおせちの売り上げは14億8000万円で、19年3月期は18億円にまで伸ばしたいとしている。9位の高島屋では、17年末のおせちの売り上げが、前年比で50%増加したとしている。
ただ、おせちについては、配送会社から総量規制を要請されていると話す企業が多く、18年末の売り上げの伸び悩みを危惧する声は多い。17年末の出荷においても、少なからぬ企業が配送会社から荷受け量の制限を受けた。おせちのブランド「匠本舗」を運営するスカイネット(本社大阪府)によると、日ごとに抑制の割合は異なり、荷受け量の9割抑制を余儀なくされた日もあったとしている。久松(本社福岡県)では、18年末のおせちの出荷に対応できるよう、配送会社との相談を4月から続けてきたという。今では、12月の一日ごとの出荷量がすべて決まっているとしている。
大幅増収を記録した企業としては、タイムセールECサイトを運営するルクサ(本社東京都)の売り上げが前期比40%増の35億円となった。通販全体に占める食品の割合は約20%だという。ルクサでは、「会員数が増大したこともあり、全体的に売り上げが好調で食品売り上げも増加した」としている。同社のECサイト「LUXA(ルクサ)」の会員数は18年3月時点で200万人となった。
■【食品通販の物流】 55%が「総量規制あった」と回答
(続きは、「日本流通産業新聞」10月11日号で)
【2017年度 食品通販売上高ランキング】90社合計は4244億円/実質成長率は5.4%に
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