ファッションEC業界に次々と新しいテクノロジーが登場している。他のEC業界と比べても技術革新のスピードは速い。ファッションECモール「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を展開するスタートトゥデイは、業界のスタンダードとなる新サービスを次々と展開。さらにIoT(モノのインターネット)を活用したプライベートブランド(PB=自主企画)商品を販売する計画を発表している。他にもバーチャル試着サービスやコーディネート共有サービスなど、ファッションECのソリューションの登場は後を絶たない。先進的なファッションECのソリューションは、他の商品カテゴリーにも波及する可能性がある。
■ゾゾが市場けん引
ファッションEC市場は「ゾゾタウン」の成長とともに急速に拡大している。
家電や本と比べるとファッションEC市場は普及が遅れていた。ファッション企業のネット活用は遅れており、消費者はサイズや色をじかに確認してから買うのが当たり前というのが常識とされていたからだ。
スタートトゥデイは04年に「ゾゾタウン」を開設し、ユナイテッドアローズやビームスなど有力セレクトショップが出店したことで、多くのショップやブランドが参加し、流通額を急速に伸ばした。
ファッション企業に売り場を提供しただけでなく、スタートトゥデイはユーザーが買いやすいサービスを次々と提供している。
例えば、会員ユーザーがスラックスを閲覧していると、商品ページに以前購入したスラックスのサイズを表示する。ファッションECでネックとなるサイズ選びをサポートすることで転換率を向上し、リピート購入につなげている。
■サイズ最適化でトップ
自社サイトに導入できるサイズ選びをサポートするソリューションも登場している。
スウェーデンに本拠地を持つバーチャサイズ(本社東京都、上野アンドレアスCEO)は13年、オンライン試着ソリューション「Virtusize(バーチャサイズ)」の国内での提供を開始し、ユナイテッドアローズやマガシーク、ショップリスト、ベルーナなど大手ファッションEC企業に導入している。
「導入企業のEC売上高の総計は、ファッションEC市場の13%に達している。オンライン試着ソリューションとしては国内トップシェアだ」(パートナーシップマネージャー・大澤友紀氏)と話す。
「バーチャサイズ」を導入すると、過去に購入した商品のサイズとECサイトで購入を検討している商品のサイズを比べることが可能だ。過去に購入したことのないユーザーは、自ら入力した自分の洋服のサイズと比較することもできる。
「バーチャサイズを利用したユーザーの20%が商品を購入している。商品購入のハードルを下げるため、導入サイトの平均購入単価は18%高まった。顧客満足度が高まるため、リピートしやすくなる。サイズに起因した返品率を30~50%低減したデータもある」(同)と話す。
マガシークは13年に「バーチャサイズ」を導入した。「バーチャサイズ」を利用したユーザーは、利用しないユーザーに比べて転換率が約10%高いという。「バーチャサイズ」の利用者は1カ月に2万~3万人いる。
■掲載企業
・バーチャサイズ
・メイキップ
(続きは、「日本流通産業新聞」3月2日号で)
【通販イノベーション】第8回 ファッションテック編/バーチャル試着、コーデアプリなど次々登場
記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。