【本紙徹底取材】デュブリの実態に迫る/法令順守乏しい組織

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む
「デュブリ」の仕組み

「デュブリ」の仕組み

 有力新興企業の日本上陸などでネットワークビジネス(NB)業界が活気づく中、次なる「外資系の上陸案件」として、「DubLi(デュブリ)」というキャッシュバックショッピングサイトの会員権を商材にしたNBが業界に波紋と混乱を生じさせている。同組織については、ネット上でも芳しくない噂が流れており、「実態が分からない」という意見が本紙編集局にも多数寄せられていた。そこで本紙は、徹底取材を行い、デュブリの実態に迫ることにした。取材を通じて、デュブリがコンプライアンス意識に乏しい会員組織であることが判明。その悪影響は、NB業界はもとより通販・EC業界にも及んでいることが分かった。

 デュブリとは、米国のナスダックOTC市場と呼ばれる新興市場に上場しているOminto(オミント、本社米国フロリダ州、マイケル・ハンセンCEO)と、その子会社らが運営するウェブサイトや組織の名称だ。同社では、「アフィリエイト」と「連鎖販売取引」の仕組みを融合したビジネスモデルを採用している。(=詳細は別項「デュブリの仕組み参照)。
 ネット上では、同社に関する〝悪い噂〟が数多く確認されている。「いつまで経っても日本企業のECサイトで買い物ができるようにならない」「提携すると言われた日本企業に問い合わせても、事実が確認できない」「報酬の受け取りのために申し込みをしたデビットカードが来ない」「解約に応じてもらえない」などが代表例だ。
 こうした噂の真偽を確かめるため、本紙は、デュブリに代理店会員登録をしている複数の人物とコンタクトをとった。その結果、匿名を条件に複数の代理店会員が取材に応じてくれた。
 代理店会員登録を行っているA氏によるとデュブリは、法定書面(※)を用意せずにNBの勧誘活動をしており、規約や解約に関する説明を行っていないという。会員登録時には、運転免許証やパスポート情報、マイナンバー情報などを求められたそうだ。
 A氏は28万円を支払って会員登録した。しかし、会員になってからもデュブリのサイトにログインができず、ビジネス活動はおろかショッピングもできなかったという。「報酬の受け取りのため」と作成を要求されたデビットカードも送られてこないと話す。
 A氏は、解約を申し出ようとしたが、日本に公式な窓口がないため解約の方法すら分からない。消費生活センターや、越境トラブルの専門機関CCJ(国民生活センター越境消費者センター)を通じて解約を申し出ても、デュブリは「キャンセルができるのは72時間以内」とし、解約に応じなかったという。
 B氏も、A氏と同様に法定書面もなく、規約や解約に関する説明もなしに勧誘を受けた。B氏は約6万円を支払い登録を行ったが、デュブリのサイトにログインできず、デビットカードも送られてこないと言う。


【書面なく、重要事項の説明もなし 】

 A氏とB氏にデュブリの勧誘の仕方について聞いたところ、「代理店登録をすると、『ショッピング会員』よりもキャッシュバック率が上がり、新規の代理店を紹介することによってコミッションを得られる」などとして勧誘を受けたと言う。
 ただ、両氏は、「概要書面や契約書面は渡されていない」「会員規約についての詳しい説明を受けていない」「特定利益に関する詳細な説明を受けていない」「クーリング・オフや返金方法に関する説明を受けていない」などと、口をそろえる。
 消費者庁の取引対策課によると「一般論として、日本に法人がなくても、日本人を対象に勧誘が行われている場合、特商法が適用されると解釈されている」と言う。「一般論ではあるが、特商法が適用されれば、概要書面や契約書面の交付がなければ『書面不交付』、解約などに関する説明を行わなければ『重要事項不告知』にあたり、特商法違反にあたる」(取引対策課)と指摘している。


【ジャパネットと千趣会、「いっさい関係ない」 】

 A氏は、「デュブリは今後、日本の大手企業と提携する、と具体的な社名をあげて説明された。『普段のネット通販での買い物がお得になる』とも言われ、『そんなにいい話なら』と思い代理店会員登録をした」そうだ。
 A氏の口からは、ジャパネットたかた、千趣会といった大手通販企業、バイク王といった上場企業の名前も挙がった。ただ、本紙が各社に問い合わせをしても、デュブリとの提携や契約を行っているという事実は確認できなかった。
 特商法に詳しい弁護士によると「勧誘の際に事実が確認されない内容を話すのは『不実告知』となり、特商法違反に当たる可能性が高い。また、ありもしない提携の事実をでっちあげて勧誘をしているとすれば、詐欺罪になる可能性もある」としている。別の弁護士も、この見解に同調している。


【代理店登録申込書は「控えなし」 】

 A氏とB氏にデュブリの代理店登録申込書についても聞いた。登録時には、代理店登録とあわせて「報酬を受け取るため」として、独自のデビットカードの新規作成を求められたと言う。
 本紙では「DubLi入会申込書」「DubLi 登録申込書」と称する2タイプの用紙を入手した(=写真)。
 一つは、代理店会員登録とデビットカードの申込書がそれぞれA4で1枚ずつあるタイプ。登録代行会社と称する企業の連絡先が記載されている(タイプ1)。
 もう一つは、代理店会員登録とデビットカードの申込書が一体のタイプだ。こちらには、登録代行会社の連絡先などの記載はない(タイプ2)。
 タイプ1・2ともに、記載を求める個人情報は同一だ。A氏はタイプ1の申込書を使って登録をした。B氏はタイプ2の申込書を使って登録を行ったようだ。
 代理店会員登録の申し込みの用紙では、住所・氏名・年齢・電話番号のほか、Gメールのメールアドレスとそのパスワード、クレジットカードの番号やセキュリティーコードの記載を求めている。
 デビットカードの申し込みにあたっては、氏名と、運転免許証かパスポートの番号や有効期限の記載を求められたという。
 タイプ1については、上部に「私は、規約に同意し、下記の通り入会を申し込みます」というチェック項目が設けられている。ただ、A氏は「規約に関する説明も受けていない。法定書面も受け取っていない」と話す。
 この申込書の提出先は、運営会社などではなくアップラインなのだという。「アップラインに提出した申込書は、リーダー会員に渡り、リーダー会員から『デュブリの代理店会員登録代行業者』なるものに渡り、手続きが完了すると説明を受けた」(A氏)と話している。
 A氏によると、申込書を提出した後に「マイナンバーの提出も求められた」そうだ。
 なお、総務省によると「身分証明書情報といった個人情報の取り扱いは、個人情報保護法に抵触する可能性がある」と言う。クレジットカード情報の取り扱いについて経済産業省は、「割賦販売法に抵触する可能性がある」としている。
 また、マイナンバー法では、マイナンバーの取得は法令で定められた場合を除いては認められていない。


【「ログインできない」「デビットカード来ない」 】

 ログインもできず、デビットカードも来ないことを怪しんだA氏は、アップラインなどに説明を求めたが「ろくに対応をしてもらえなかった」と言う。「解約を申し出ても、最終的には『分からない。米国の本社に問い合わせてくれ』とずさんな対応をされた」(A氏)そうだ。
 そこでA氏は、消費生活センターや、越境トラブルの専門機関CCJ(国民生活センター越境消費者センター)に相談を持ち掛けた。CCJは解約を申し出るための英文作成の支援などをしてくれたという。
 CCJの支援のもと、A氏はデュブリのサイトに記載されているというメールアドレスに対して、日本の特商法に則り解約を申し出たいと連絡したが取り合ってもらえなかった。
 A氏は再びCCJに相談を持ち掛けたが、CCJからは「英文作成の補助などはできるが、先方に『解約はできない』と断られてしまった以上、これ以上CCJとしてできる支援がない」と言われてしまったという。
 日本の特商法では、連鎖販売取引のクーリング・オフ期間は20日間と定められている。なお、クーリング・オフ期間の起算日は「契約書面を受領した日」「商品の引き渡し日」のいずれかの遅い方となる。要件を満たした契約書面が交付されていない場合、クーリング・オフ期間は交付されない限り無期限で延長されることになる。


【オミントは取材に応じず 】

 本紙では、事実確認を行うため事業者側への取材を試みたが、デュブリは日本に法人を持っておらず、「日本開業準備室」といったような公式の窓口もない。ウェブサイトは存在するものの、詳細な情報は掲載されていない。
 電話番号やファクス番号、メールアドレスが公表されているオミントの米国本社に連絡してみたり、デュブリの問い合わせフォームを利用しての取材を試みたりもしたが、それもかなわなかった。
 英文による質問状を用いてメール取材への対応を依頼したが、期限内に返事はなかった。
 時差を考慮した上で複数回、国際電話による電話取材も試みた。ただ、ホームページ上で記載されている代表番号にかけても、コールは鳴るものの電話はとられず取材には至らなかった。電話番号宛にボイスメールを送ってみたが、こちらもなんら反応は得られなかった。
 ファクスによる取材依頼も複数回試みたが、不達エラーが発生したため断念した。
 デュブリの問い合わせフォームを利用した取材依頼については、カスタマーサポート担当と称する人物から、受領メールと、「経営陣に問い合わせ内容を転送する」旨のメールが送られてきた。これに対し、指定する期日までの回答を求めるメールを送付したが1月25日までに回答はない。
 前述した、申込書に記載されている登録代行業者にも取材を行った。同社の代表者X氏はデュブリのトップタイトル代理店なのだという。X氏によると「日本に法人がないこともあり、自分のグループの人たちのサポートを行うために登録代行や問い合わせ対応など受け付ける業務を行っている」と話す。「日本法人ということでもないし、公式な窓口ということでもない」と言う。「解約に関する問い合わせも来る。やり方を教えることはできるが、それ以上のことは当社ではできない」と話していた。

(続きは「日本流通産業新聞」1月26日号で)

※法定書面とは?
 連鎖販売取引を行うものは、特定商取引法(特商法)で、「『概要書面』と『契約書面』を交付しなければならない」と定められている。「概要書面」とは、契約の締結前に渡さなければいけないもので、「連鎖販売業の概要を記載した書面」のこと。契約書面とは「契約の締結後には、遅滞なく」渡されなければならない「契約内容について明らかにした書面」のこと。

■掲載内容
・〈「デュブリ」の仕組み〉
・〈「デュブリ」検証・各界に波及も〉 通販業界にも影響及ぶ
・〈「デュブリ」検証・各界に波及も〉 業界団体注意喚起など動きが
・〈「デュブリ」検証・各界に波及も〉 行政の姿勢は”及び腰”

本紙編集局が入手した申込書(タイプ1)

本紙編集局が入手した申込書(タイプ2)

「DubLi.com」のトップページ

関連リンク・サイト

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ