【2015年通販業界重大ニュース】機能性表示食品制度がスタート/通販好調なケースもある一方、課題も

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

食品の機能性を、国などの個別審査なしで表示できる「機能性表示食品制度」が4月1日にスタートした。トウ・キユーピーやライオンなど通販の売り上げが好調のようだが、制度施行前後にはドタバタ劇も生まれた。今もなお、制度運用がスムーズとは言い難く、課題は多いといえそうだ。
 トウ・キユーピーの「ヒアロモイスチャー240」は6月の発売から9月末までの販売状況として、定期顧客数がリニューアル前と比べて2桁%の伸び率を達成。6―9月のウェブ経由の月間平均新規顧客獲得数は、発売前の6カ月間の平均と比べて約4倍になったという。
 ライオンの「ナイスリムエッセンス ラクトフェリン」も好調だ。機能性表示食品としてリニューアル発売後の3カ月間(7月―9月)の売り上げは、今年4―6月の3カ月間と比べて、金額ベースで1・2倍に伸長。新規顧客獲得数は前年同期比で2・4倍に増加したという。
 一方で、制度施行前後はドタバタ続きだった。届け出の手順などを細かく示したガイドラインの正式版が公表されたのは施行日の前々日。4月1日には、機能性表示食品制度のキーマンともされていた消費者庁食品表示企画課の塩澤信良食品表示調査官が、厚生労働省健康局がん対策・健康増進課に異動となる出来事もあった。
 現状も、制度がスムーズに運用されているとは言い難い。届け出番号の付与についても、当初の想定より長い時間を要している。施行前には「限りなく形式的な審査をする予定でいるため、郵送していただいた後、早い段階で届け出番号を郵送でお返しする」(塩澤氏)とアナウンスしていた。しかし現実には、届け出後、消費者庁から何らかの反応があるまでにかかった時間は、施行直後で約2週間、現在は50日間ほどかかっているようだ。
 消費者庁のチェック体制に対する疑問もあるが、事業者のケアレスミスが多いことを消費者庁は指摘している。企業側にも責任なしとはいえなさそうだ。「必要事項の記載不備や、書類の添付漏れなどの書類不備などが多い」(食品表示企画課)ことを再三指摘している。16年は、新たな機能性表示食品がハイペースで登場し、通販業界の盛り上がりにつながることを期待したい。

配送の多様化進む

短時間配達や受取ロッカーなど
 15年は「爆速」といわれる配送スピードの短縮に向けた動きが加速した。日用品、食品、飲料など、スピード配送の需要が高い商品に絞り、楽天は最短20分で配送する「楽びん!」を、アマゾンは1時間以内に届ける「プライムナウ」をそれぞれ開始した。
 ヤマダ電機やヨドバシカメラも店舗網や物流体制の強みを生かし、当日配送に対応。都内から開始し、精力的に対応エリアの拡大を図っている。
 商品のコンビニ受け取りも進んでいる。楽天はヤマトHDとの連携強化し、「楽天市場」の出店者がヤマト運輸で配送する商品のコンビニ受け取りを可能にした。アマゾンはファミリーマートで「当日受け取り便」を受け取れるようにして、スピードと受け取り場所の両方に対応し始めた。
 日本郵便はこれまで、ローソン、ミニストップと提携していたが、11月にファミリーマートとも提携。これにより、商品を受け取れるコンビニ店が約2万5000店舗となった。来年はさらに約2万4000カ所の郵便局でも商品が受け取れるようにしていく計画だ。
 コンビニ受け取りが一般化している台湾に向けた発送を代行する転送コム(本社東京都)は、現地のファミリーマートで顧客が商品を受け取れるようにした。これを機に、年間商品発送数を2倍にしたい考えだ。
 受け取り場所ではロッカーの設置が活発化した。楽天は駅などに設置している受け取りロッカー「楽天BOX」の数を拡大。日本郵便と共同で、郵便局に設置した受け取りロッカーを都内で試験的に開始している。
 買い取りが必要な中古品通販事業者も、顧客がより手軽に売れる仕組みを進化させている。
 ブックオフコーポレーションの完全子会社のハグオールは買い取り専用ロッカーを「ららぽーと横浜」から設置を開始。スタートトゥデイの完全子会社で古着の買い取り・通販を手掛けるクラウンジュエル(本社東京都)は、買い取り用の不織布のバッグを開発した。郵便受けで受け取れるため、宅配業者からの段ボールの配送を待つ必要がなく、利用者は拡大しているという。


続きは「日本流通産業新聞」12月10日・17日の合併号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ