■コロナ禍が”特需”に増収企業続々
本紙が実施した食品宅配企業の売上高調査によると、20年度の18社合計売上高は2345億400万円だった。前年同期調査と比較可能な18社で算出した実質伸び率はプラス8.7%だった。食品宅配業界はここ数年、EC事業者やネットスーパーなどと競争環境にあったが、コロナ禍で状況が一変した。外出自粛に伴い、自宅で過ごす時間が多くなり、これまで苦戦していたミールキットを販売する企業も増収に転じるなど特需をもたらした。
ランキングトップは全国で65のフランチャイズ(FC)店が加盟するヨシケイ開発(本社静岡県)で、13年連続で首位を維持した。
らでぃっしゅぼーやと大地を守る会、阪急キッチンエール関西、高島屋なども、コロナの影響が追い風となって軒並み増収となった。各社とも20年4―9月頃までは、主だった新規顧客獲得のプロモーションをしなくても会員が増加。既存会員の顧客単価も上昇したことで業績が伸長した。
コロナ禍の影響があまりなかったのが高齢者向け宅配企業。シニアライフクリエイトやシルバーライフは増収を達成している。
しかし、21年4―6月期(第1四半期)の各社の業績を見ると、前年の反動もあり、減収となった企業も目立ってきた。国民のワクチン接種が進み、自治体からの要請の緩和が進む中、今後も継続して利用をしてもらえるか。
従来から指摘されてきたこの課題に、食品宅配各社がどこまで踏み込めるのか注目される。
【食品宅配売上高ランキング 2021年版】 実質伸び率はプラス8.7%/外出自粛で状況一変苦戦のミールキットも増収に(2021年10月14日号)
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