【対面販売の衛生対策】 コロナを機にオンラインとの融合も活発化/対策徹底で来店頻度向上も

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む
「ヘルストロン」をこまめに除菌

「ヘルストロン」をこまめに除菌

 対面販売の現場では、新型コロナの影響で顧客との接点が大きく減少している。一方で、徹底した衛生対策をとることで、サロン店舗や体験会場への来店頻度が向上するといった事例もある。ポーラでは、検温や手指消毒など、徹底した衛生対策を行っていることを顧客に説明したところ、3カ月に1回のペースの来店していた顧客が、週に1回来店するようになった事例もあるという。コロナを機に、オンラインとの融合も活発化している。来店前の顧客に対してオンラインカウンセリングを実施し、対面時間の短縮を図る企業や、対面接客でECサイトへと顧客を誘導する企業も出てきている。


【対面販売の衛生対策】 白寿生科学研究所/集客がコロナ前6割に回復/20分ごとに電位治療器を除菌

 電位治療器「ヘルストロン」の体験販売を実施する白寿生科学研究所(本社東京都、原昭邦社長)では6月、全国の体験会場「ハクジュプラザ」の営業を再開した。再開後は、「ヘルストロン」の体験の際の間仕切りとしてアクリル板を設置したり、20分の体験会が終わるたびに、スタッフがこまめに機器の除菌を行ったりして、衛生対策を行っている。神奈川・川崎の店舗では、衛生対策の徹底が安心感につながり、来店者数がコロナ前の6割に回復してきているという。


■手書きのはがきでフォロー

 全国約500カ所の「ハクジュプラザ」の多くの店舗が、緊急事態宣言が発令された4月上旬から6月上旬まで、約2カ月間休業した。「ハクジュプラザ 川崎モアーズ店」では、入居する商業施設自体が休業したため、休業せざるを得なかったという。
 川崎モアーズ店では休業中、体験会場によく来店していた顧客に、手書きのはがきを書いて、フォローアップを行っていたという。「よくプラザにいらっしゃるお客さまに、『お元気ですか』や『われわれはこうしてます』『プラザが再開しました』といったことを手紙に書いて、気持ちをお伝えしていた」(鈴木大志プラザマネージャー)と言う。


■毎日来店する顧客も

 営業再開後に川崎モアーズ店で実施しているのは、顧客が安心して来店できる環境づくりだという。「ヘルストロン」はこまめに除菌。来店客が「ヘルストロン」を体験している最中に実施する健康セミナーも、顧客と十分な距離をとって、必ずマスクを着用して実施するようにしている。
 川崎モアーズ店ではコロナ以前、「ヘルストロン」の体験に来た客が、店舗の前のソファに座って並んで待っているのが通常の風景だった。コロナ後は、並んで待っている状況が「密」となるため、待っている間に買い物をするように促すなど工夫をしている。
 店舗の扉は開け放したままにし、サーキュレーターを店内に複数台設置するなど、絶えず換気を行うように心掛けている。
 来店客の女性の一人に話を聞くと、自宅用の「ヘルストロン」をすでに購入したが、コロナ後も毎日プラザに通っているのだという。「7月上旬くらいから、毎日来るようにしている。生活にサイクルができて、体にいい。待ち時間は買い物をして、店の前では待たないようにしているので、感染リスクは気にならない」と話している。


【特集 対面販売の衛生対策】 ポーラ/来店前にウェブカウンセリング/対策徹底で来店頻度上がった顧客も

 ポーラのサロンでは5月から、Zoomを用いて、来店前の顧客に対するオンラインカウンセリングを実施している。顧客が店舗に来店した際に、販売員が対面で接客する時間をできるだけ短縮するのが目的だ。衛生対策と来店促進に貢献すると同社では考えている。サロンでは、検温や手指のアルコール消毒を実施。フェイスシールドやアクリル板ごしに会話するなど、対策を徹底している。対策の徹底が、店舗の信頼度の向上につながっており、来店頻度が上がったという顧客もいるという。


■朝夜にオンライン接客

 ポーラの路面店サロン「ポーラ・ザ・ビューティー」では、5月からオンラインカウンセリングを実施している。顧客が来店前に販売員であるビューティーディレクター(BD)とZoomを使ってやり取りし、普段のスキンケアの様子やメークの仕方などについて、カウンセリングを行う。
 ポーラ・ザ・ビューティー浅草田原町駅前店では、7~8時と19~20時の時間帯に、顧客のオンラインカウンセリングを行っており、昼の間に実際に来店する顧客を接客している。新規顧客・既存顧客を問わず、オンラインカウンセリングを実施してから来店するようになっているという。
 オンラインカウンセリングの時間は30分前後。オンラインカウンセリングを実施することが、サロンでの接客時間の減少につながっているという。コロナ前には2時間程度かかっていたところが、30分程度で完了するようになったとしている。来店時に他の来店客と接触することがないよう、スケジュールの調整も行っているという。


■来店頻度が増えた顧客も

 ポーラ・ザ・ビューティー浅草田原町店では、体温計や自動手指消毒器、サーキュレーターなどを設置しており、サロン店内部の衛生対策も徹底している。加湿器で弱酸性水も噴霧し、1時間に1回必ず店舗の扉を開けるなどして換気も頻繁に行っている。
 フェイシャルエステを行うベッドには、マスク素材にも使用する不織布を使用。不織布は、顧客の服に接触するだけで肌には直接触れないが、顧客ごとに毎回交換しているという。
 こうした徹底した衛生対策をとり、来店の予約をする顧客に説明を行うことで、店舗への信頼度が向上。来店頻度が高まった顧客もいるという。
 浅草田原町駅前店の渡辺佳織オーナーは、「新規顧客も既存のお客さまも、予約するときに、衛生対策を気にする人が多い。店舗に来てもらって対策状況を体感してもらうと、信頼度が上がる。コロナ前に3カ月に1回のペースで来店していた人が、週に1回来店するようになった事例もある」と話している。


【対面販売の衛生対策】 富士山の銘水/手袋・マスクで催事提案/2メートルのソーシャルディスタンスを徹底

 「フレシャス」ブランドで水宅配事業を展開する富士山の銘水(本社山梨県、粟井英朗社長)はこのほど、商業施設にブース出店して行う催事提案を本格的に再開した。再開に当たっては、ブーススタッフのマスク・手袋の着用を徹底している。道行く人に声がけする際には、「よろしければ除菌はいかがですか」と提案するようにしている。商品説明や接客の際には、顧客と2メートルの距離を保つようにしている。


■コロナ禍で3割減少も

 富士山の銘水では、イオンやららぽぽーとなどの商業施設の一角に、催事ブースを一定期間出店し、宅配水の契約についての提案を行っている。今年3月から5月にかけては、新型コロナの影響で一時閉鎖する商業施設があったことなどから、ブース出店数が前年同時期比で3割減少した。地方の商業施設への出店を強化するなどして、事業継続を図っていた。
 6月以降は徐々に出店数が回復し、7月中旬ごろからコロナ前と同様の出店状況に戻っているという。ただ、商業施設自体の客数の減少の影響は現在も受けているとしている。
 首都圏の、とある商業施設に富士山の銘水が出店したブースを取材したところ、顧客との距離を十分に離して、提案営業を行っていた。ブースの接客用の机には、飛沫感染防止シートを設置。マスクとビニール手袋は、ブースの営業スタッフ全員が着用していた。
 コロナ前は、ブース前を通る顧客の呼び込みのきっかけとして、ティッシュを配っていたが、コロナ後はアルコールハンドジェルに変えたという。接客時に、従来実施していた天然水の試飲は、現在のところ中止しているという。商業施設によっては、顧客が自分でウォーターサーバーから給水する形で、試飲を実施しているケースもあるとしている。
 同社の催事ブースではこれまで、その場で宅配水の契約にまで至るケースが多かったという。コロナ後は、接客時間を短くしていることもあり、顧客が十分に検討してから契約できるよう、後日改めて契約できるECサイトへと誘導するケースもあるとしている。
 同社のウォーターサーバーは、女性をターゲットにしており、水パックが比較的軽いことや、9・3リットル入りという小ぶりなボトルを採用していることなど、利便性・機能性の高さを前面に打ち出して、提案を行ってきた。催事ブースで衛生対策を徹底することにより、「安心・安全」を訴える「フレシャス」ブランドのさらなる価値向上を図る狙いもあるようだ。

Zoomでオンラインカウンセリングを実施

検温や手指のアルコール消毒を徹底

距離を保って声掛けを実施

関連リンク・サイト

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ