【免疫対応素材】 シエン〈「姫マツタケ(岩出101株)」〉/免疫CP阻害で学会発表

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 岩出菌学研究所(本社三重県)の販社で、食品・化粧品の製造販売などを行うシエン(本社三重県、隅谷利光社長、(電)059―213―0404)は19年10月1日に三重県津市で開催された「アジア菌学会」で、「姫マツタケ(岩出101株)」=写真上=の亜臨界水抽出エキスに免疫チェックポイント(CP)阻害作用があることを確認した旨の学術発表を行った。同作用については特許も出願中だ。同社では、姫マツタケの亜臨界水抽出エキス製品のOEM・PB供給や原料販売に対応している。


■三重大学と共同研究

 従来、「姫マツタケ(岩出101株)」から、有効性の高い多糖体成分「β―(1→6)―D―グルカンたんぱく複合体(FIII2b画分)」を独自の方法で抽出し、製品化していた。同社では、亜臨界水抽出することにより、姫マツタケから、これまで取り出せなかったタンパク質を、可溶化して取り出すことにも成功。こうして取り出した亜臨界水抽出タンパク質に関する研究成果を、19年10月にアジア菌学会で発表した。研究は、三重大学医学部免疫学研究室のガバサ・エステバン教授らと共同で行った。
 同研究では、姫マツタケから亜臨界水抽出で取り出したタンパク質に、免疫CP阻害作用があることが明らかとなった。
 免疫CP阻害作用は、ノーベル医学・生理学賞を受賞した、京都大学の本庶佑特別教授が発見した働きとして知られる。
 免疫細胞の表面にある「PD―1」という物質が、腫瘍細胞の表面にある「PD―L1」という物質と結合すると、免疫細胞の働きにブレーキがかかる。PD―L1とPD―1の結合を阻害し、腫瘍細胞が免疫細胞からの攻撃に対してかけるブレーキを解除することにより、免疫活性を高めるのが、免疫チェックポイント阻害の主な原理だ。
 肺がんマウスに姫マツタケの亜臨界水抽出エキスを投与した試験では、PD―L1の発現量の減少を確認。同様の分子であるPD―L2についても同様の効果が認められた。
 この結果から「ヒメマツタケ抽出物が免疫チェックポイント分子の発現を抑えることによって、抗腫瘍効果を発揮することが確認できた」と、同研究では結論付けている。


■自己免疫強化を確認

 これまでの度重なる研究では、姫マツタケに含有される多糖体成分に、腸管免疫を介して、マクロファージ、ヘルパーT細胞、NK(エヌケー、ナチュラルキラー)細胞、樹状細胞といった免疫担当細胞を活性化する作用があることが確認されている。
 こうした研究の中では、自己免疫を強化することを介して生体の恒常性維持機能を調整する働きを持つことが明らかになっているという。
 岩出菌学研究所では1980年に開催された第39回日本癌学会から継続的に、抗腫瘍効果に関する学術発表を行ってきた。
 各種安全性試験で安全性が確かめられているのも同社の姫マツタケの特徴だ。
 同社では、姫マツタケ亜臨界水抽出エキス製品のOEM・PB供給だけでなく、同エキスのフリーズドライ(FD)粉末原料の販売も行っている。


■高度なFD加工も受託

 同社では、高度なFD加工が行える、FD工場を保有している。同社のFD工場では、マイナス80度のコールドトラップ冷却を行えるため、糖分が多い素材など、FD化が難しいとされる原料にも適しているという。
 なお、同社FD工場では、サプリメント・食品原料だけでなく、化粧品や医薬部外品等のFD受託も行っている。

同社の学会発表のようす

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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