【CBD】 揺れるカンナビジオール食品市場

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 米国食品医薬品局(FDA、本部米国ワシントンDC)は19年11月25日、カンナビジオール(CBD)の食品への使用は違法という声明を出した。米国のCBD食品市場や規制、日本やネットワークビジネス(NB)業界などへの影響について、CBDに詳しい一般社団法人日本カンナビジオール協会の伊藤俊彦代表理事、昭和大薬学部の佐藤均教授、グローバルニュートリショングループの武田猛社長の3人に聞いた。

 FDAは、食品におけるCBDの安全性を裏付ける科学的な情報が不足しているとして、「CBDはGRAS(食品添加物に与えられる安全基準)として結論を出せない」との声明を出した。米国で、食品に使用する原料は、FDAの認可が下りた食品添加物しか使用できない。
 現在、FDAがCBDの使用を認めているのは、重度のてんかん治療処方薬1種類のみだという。FDAによると、CBDには、肝障害や深刻な副作用などを与える可能性があるという。本紙はFDAに対し「今後、米国内でCBDを食品や健康食品に使用できないのか」と質問したが、FDAは、「声明以外に追加のコメントはない」と回答を避けた。


■食品への使用に難色示す

 前出の3人は、「今後、米国でのCBDの食品への使用は厳しくなる」という意見で一致している。佐藤教授は「医薬品としての認可が下りているので、食品添加物としての有効性を示せれば食品への使用もできる」との見解を示している。
 一方で、武田社長は「FDAがCBDの有害性や副作用について声明を出している時点で、そういった認可を得るのは難しい」と話し、認可の可能性について意見は異なる。
 他に見解が3人とも一致したのは、「今回の発表はあくまでもFDAの声明であり、法的な拘束力はない」という点。今後、CBD食品・健康食品の製造・販売を巡り、連邦と州の間で係争が起こり得る可能性はあるという。現在、CBDを規制する法律は日米ともにない。「今回の声明を受け、日本国内でもCBDを医薬品として認める動きも出てくる可能性がある」(同)という考えは共通している。


■事業者からさまざまな声も

 健康食品のNBを展開するヤンジェヴィティ(本社米国カリフォルニア州)は「引き続き米国内での販売は継続していく」とコメントしており、日本支社の関口暖ジェネラルマネージャーは「国内では特に影響が出ていないので、販売を継続する」としている。
 また、健康食品のNBを展開するジージャ(本社米国ユタ州)は、今回のFDAの声明に対し「この件については、一切コメントできない」としており、FDAの声明がもたらしたインパクトが業界にとって強烈だったという一端を示している。

■掲載記事
・〈インタビュー〉一般社団法人 日本カンナビジオール協会 伊藤俊彦代表理事/食品への使用困難に
・〈インタビュー〉昭和大学 薬学部 佐藤均教授/大量摂取による危険性も
・〈グローバルニュートリショングループ 武田猛社長〉CBD食品市場不透明に
・〈CBD(カンナビジオール)って何?〉

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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