【第26回 コールセンター売上高調査】 伸び率は4.7%増/合計売上高1兆931億8000万円

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 日本流通産業新聞社は10月、電話応対業務を受託するコールセンター企業の売上高を集計した「第26回コールセンター売上高調査(2018年度)」をまとめた。ランキングに掲載した33社の合計売上高は1兆931億8000万円となり、前年実績と比較可能な23社で算出した実質伸び率は4.7%増だった。売上高が2桁増収となった事業者は5社だった。93年の調査開始以降、売上高は伸び続けており、市場規模は拡大している(グラフ参照)。

■上位3社は売上増

 トランスコスモス、ベルシステム24ホールディングス、りらいあコミュニケーションズの上位3社はいずれも増収だった。大きく売り上げが低迷した事業者は少なく、業界全体としては安定した成長を示した。
 1位のトランスコスモスは、キャッシュレス関連業務の受託が増加傾向にある。官公庁や地方自治体に向けたLINEを活用したサービスを展開し、多くの引き合いがあった。
 2位のベルシステム24ホールディングス(HD)は、CRM事業が順調に伸びている。前年度から開始した既存継続案件の売り上げが伸びたことが増収につながった。最近の受託状況としては、消費増税やキャッシュレスなどに対する、対応業務の依頼が寄せられているという。
 3位のりらいあコミュニケーションズは、電力やガスの自由化による特需が継続していることと、金融向けを中心としたアウトソーシングの引き合いがあった。


■2桁増収は5社

 調査によると、18年度の売上高が2桁増収となった企業は、プレステージ・インターナショナル、WOWOWコミュニケーションズ、東京ガスカスタマーサポート、バーチャレクス・コンサルティング、CENTRIC(セントリック)の5社だった。
 31位だったセントリックの売上高は前期比51.4%増の9億500万円となった。17年4月から、人工知能(AI)を活用した感情解析システムの提供を開始し、販促が軌道に乗ってきている。
 自社で保有しているコールセンター数は前年比1カ所増え合計2カ所に、オペレーションブース数も前年比50ブース増え、合計200ブースとなった。
 7位のプレステージ・インターナショナルの売上高は、前期比12.6%増の371億9600万円だった。前期の受託状況としては、製造関連の業種の増加が目立った。


■人材確保に苦心

 本紙はコールセンター各社の売上高調査と同時に、営業・経営課題についてのアンケート調査も実施した。
 「現在、最も経営課題と考えていることは」との設問(複数回答含む)に対しては、「人材確保」と回答した事業者は17社だった。「新技術の開発」「コスト改善」と回答した事業者は各8社、「売り上げ拡大」は7社、「業務品質の向上」は4社、「その他」が1社だった。採用難や離職率の高さなどに苦心する事業者が目立った。
 採用難から、すでに就労している従業員への教育体制の強化に向けた取り組みを進める事業者が多い。
 13位のビーウィズは、年間約1万5000~6000時間ほどをスタッフの研修時間として充てている。従来から研修に力を入れていたが、18年から一層強化し研修の必修化を行っている。30コンテンツほどの研修プログラムを用意。経験者のスキルを高めることで応対品質の向上を図っている。
 新規の採用を強化する事業者もある。ベルシステム24HDは18年から、コンタクトセンターで働く上で必要なスキルを身に付けるための就業支援施設「SUDAchi(すだち)」を東京・池袋センター内に開設した。従来採用を見送っていた人材を教育し、即戦力として確保する。
 就業者にとっては就労前に会社のことをよく知ることができるため、通常採用する人材よりも定着率が高いという。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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