〈特商法〉 政令案のパブコメ実施/違反認定なしでも業務停止が可能に (2021年12月2日号)

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 法律違反を認定していない企業に対して業務停止命令を出せる─そんな制度改正が行われようとしている。消費者庁はこのほど、特定商取引法の改正に伴う、「関係政令の整備に関する政令(案)」や、「施行規則の一部を改正する命令(案)」のパブリックコメントを実施した。政令案には、業務停止命令の範囲の拡大に関する規定も設けている。そのまま施行されれば、違反行為を行った事業者の役員が、違反行為が認定されたのと同じ事業を、子会社や親会社といった関係会社で行っていた場合、行政は、関係会社で違反認定ができていなくても、関係会社に対して業務停止命令を行えるようになる。
 業務停止命令の対象範囲を拡大する規定は、通信販売や訪問販売などトラブルが発生しやすいとされる七つの類型が対象だ。
 違反行為を行った事業者の役員が、違反と認定されたのと同じ業務を、他の会社(特定関係法人)で行っていた場合には、特定関係法人の違法行為を認定していなくても、特定関係法人の業務を停止できることを定めている。
 消費者庁では、特定関係法人に対して業務停止を行うかどうかについては、法律の運用次第だとしている。
 「関係政令の整備に関する政令案」のパブリックコメントは、21年10月26日に公示され、11月24日に締め切られた。
 同政令案では、違反行為の認定なく業務停止を命じられる「特定関係法人」の範囲について、「親会社」や「子会社」などと規定している。
 特商法に詳しいさくら共同法律事務所の千原曜弁護士は、「業務停止を受けることが明らかになった会社が、対象の業務を関連会社にシフトして、事実上、業務停止処分を回避する例があったことから改正に至ったのだろう」と話す。「違反行為をしていないにもかかわらず、関連会社で同じ業務を行っていたというだけで、業務停止となり、社名が公表されてしまうのは、かなりのリスクといえる」(同)と話している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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