頒布会事業で順調に売り上げを拡大している事業者が増えてきた。商品をお勧めする「キュレーションコマース」や、定期的に商品を届ける「サブスクリプションコマース」など、ネットを活用した展開が目立つ。成功している新規参入事業者は、ネットを活用して顧客の好みを把握したり、商品知識を生かした提案力が武器。顧客に継続してもらえるアイデアが随所に見えてくる。
気に入った服だけ買取
昨年7月に設立したエアークローゼット(本社東京都、天沼聰社長)が提供する女性向け月額制ファッションレンタルサービス「airCloset」に注目が集まっている。
会員登録者数は5万6000人に達しているが、サービスの提供が追いつかないほどの人気で、無料登録状態で待機している会員も多くいる。
顧客は月額会員登録時に数枚のコーディネート写真から好みに近い写真や着てみたい服の色などを選ぶ。
月額利用料6800円(税別)でトップス、ボトムス、ジャケットなどトータルコーディネートできる3着が送られてくる。顧客は気に入った商品を買い取ることができ、不要な商品は返品できる。商品は5000~3万円程度の価格帯となる。
返品した商品は倉庫で検品し、クリーニング代はエアークローゼットが負担する。返品してきた顧客には、新たな3着を送るというサイクルを繰り返す。
顧客は返品した服について「このブランドのサイズは自分には大きい」「ノースリーブは着ない」など、気に入らなかった理由をネットのマイページに書き込める。次回以降に送られてくる商品に情報が反映される。
社内にスタイリストを抱えているほか、外部のプロが空いた時間にクラウドソーシングの形でスタイリングを手掛けている。服を送る際は各スタイリストがアドバイスを添えている。
柔軟にスタイリストを活用できるようにしているが、サービス品質を維持するため、月額会員数は一気に増やさない方針だ。
「ファッションレンタルやファッションシェアリング市場は始まったばかり。当社はパイオニア的な存在で立ち上がったが、今後は競合が増えていくと思う。その中でサービスと商品の質が悪いものと懸念されることは避けたい」(天沼社長)と話している。
来年以降には東南アジアを中心に海外展開を検討していくという。現地に倉庫を構え、日本と同じ品質のサービスを展開していきたいとしている。
(続きは「日本流通産業新聞」7月30日号で)
〈頒布会参入事業者の成功事例〉 アイデアと提案力で会員急増/顧客の好みを捉え継続率高める
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