低コストローリスクで /機能性表示が可能に

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 本紙はこのほど、機能性表示食品制度について、素材供給各社へのアンケート調査を基に、「研究レビュー付きで提供できる素材一覧」をまとめた。一覧には、自社の供給する素材について研究レビューを「用意している」と回答した11社の12素材を掲載した。一覧で紹介した素材を配合して食品・健康食品を開発すれば、大手はもちろん、中小事業者でも、低コスト・ローリスクで機能性表示食品市場に参入できる可能性がある。

機能性表示食品の届け出を行うには(1)最終製品についてトクホレベルの臨床試験を実施する(2)成分もしくは最終製品について研究レビュー(システマティックレビュー)を行う109640の二つの方法がある。(1)の臨床試験を新たに実施するには、数千万円~億単位の先行投資が必要になると考えられている。一方、(2)の研究レビューについても、海外の学術文献を集めてきて、しかるべき学識者が精査する必要があるため、200万~300万円の費用が必要だといわれている。いずれについても、中小の事業者にとっては、なかなかハードルが高い。
 そこで本紙ではこのほど、緊急企画として、素材供給会社が、研究レビュー付きで提供できる原料についてのアンケート調査を実施した。対象は、素材メーカーや素材商社、受託製造企業など数百社。一覧では、アンケートに回答が得られた企業のみを紹介している。
 一覧に掲載している12素材については、その素材を配合した食品・健康食品について、一定の条件を満たせば、素材供給各社が作成した研究レビューを使用することができる。そのため、独自に新規でエビデンスや研究レビューを取得するのに比べて、低コスト・ローリスクで機能性表示を実現できる可能性がある。すでに届け出が受理された実績を持つ素材が複数あることも心強い。
 ただ、一覧は、原則として、素材供給会社から得られた、アンケートの回答内容をそのまま掲載している。研究レビューの有無や内容などについての確認は、本紙では一切行っていない。そのため、実際の取引を行うにあたっては、素材供給各社に再度しっかりと内容を確認する必要がある。また一覧には、届け出がまだ受理されていない素材の情報も含まれている。研究レビューを「用意している」ことが、機能性表示が可能になることの保証には必ずしもならないことにも留意する必要がある。

(続きは「日本流通産業新聞」7月23日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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