厚生労働省/CBDの部位規制は撤廃か/改正案で新方針医薬品活用も(2021年5月20日号)

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 厚生労働省は5月14日に開催した「大麻等の薬物対策のあり方検討会」で、大麻草由来の成分「カンナビジオール(CBD)」を抽出する際の部位規制を撤廃する方針を示した。大麻取締法の改正案の一環となり、規制が撤廃されれば、成熟した茎や種以外の部位からもCBDの抽出が可能になる。茎と種は、葉や花に比べて抽出できるCBDの量が少なく、原料価格が高いことがネックになっていた。改正案の中では、CBDを使用した医薬品の製造や輸入、販売、所持を可能にすることも盛り込まれており、CBD製品を取り扱う事業者の注目を集めている。

 改正案で論点になっているのは、(1)実態に合わせて、部位規制を廃止し成分に着目した規制へ見直す(2)大麻由来医薬品の輸入と輸出、製造、製剤、譲渡、所持を可能にする─の2点だ。
 成分規制についての改正案には、CBDは由来に関わらず輸入と製造を可能とし、幻覚作用を有する成分「テトラヒドロカンナビノール(THC)」は厚生労働大臣が医薬品として承認したものに限り認めるとの方針が示された。
 現行法では、CBDを抽出する際、大麻草の葉、花、枝といった部位の使用を禁止しており、成熟した茎と種だけから抽出を認めている。CBDの原料や製品を海外から輸入する際、「成熟した茎と種から抽出している」との証明書を厚労省に提出する必要があるが、改正法が施行されればこの証明は不要になる。証明書については、メーカー側が保有する写真しか資料がないことが多く、「完全な証明は難しい」としてCBD製品の販売に踏み切れない事業者があった。
 厚労省の監視指導・麻薬対策課は、「これまでの検討会では、THCやCBDという成分規制についての意見が多かった印象がある」としている。
 委員からは、「THCが植物由来なら『大麻取締法』、合成の場合は『麻薬及び向精神薬取締法』に該当するというのは、分かりにくいので、『麻薬及び向精神薬取締法』の規制対象とすべきではないか」といった意見が上がった。「THCは有害な精神作用を示すことから、規制の対象とするのは妥当」という声もあった。
 20年2月にCBD製品からTHCが検出された事例では、「検出されたTHCが大麻由来か合成か確認できない」(厚労省)という理由でメーカーは起訴されなかった。


■原価が下落の可能性も

 CBDに詳しい専門家は、大麻の部位規制が撤廃されることで原料の卸売り価格が下落する可能性があると指摘する。
 現在、原料によっては1キログラム100万円という高価なものもあり、販売事業者がCBD市場に進出をためらう理由のひとつとなっている。原料価格が下がればCBD製品市場のすそ野が広がる可能性もある。
 CBD製品の製造や販売を行う事業者を支援する(一社)日本カンナビジオール協会(事務局東京都、伊藤俊彦代表理事)は、

(続きは、「日本流通産業新聞」5月20日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ