〈アパレル大手のEC事業〉 ユニクロ、1000億円突破/2桁増収続出、自社ECが成長の鍵

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決算発表を行うユニクロの柳井正社長

 アパレル大手の通期決算や第2四半期(中間期)決算の発表が出そろう中、EC売上高の2桁成長が続出している。20%台は当たり前で、60%増を記録する企業もある。アパレル最大手のユニクロ(本社山口県、柳井正社長)は20年8月期、初めてEC売上高が1000億円を突破した。成長率の高い企業を分析すると、自社ECサイトの売上比率が高いことが分かった。

■アパレル初の大台

 ファーストリテイリングが10月15日に発表した20年8月期決算では、ユニクロのEC売上高が前期比29.3%増の1076億円となり、1000億円の大台を突破した。アパレル企業のEC売上高が1000億円を超えたのは初めてのことだ。
 コロナ禍でECのプロモーションを強化したことが増収に寄与したという。実店舗が営業自粛や短縮営業を行う中、デジタル広告やテレビCMでは、ECサイトに顧客を誘導する情報発信を強化した。
 このような取り組みが奏功し、下期(20年3―8月)のEC売上高は、前年同期比54.7%増と大幅に伸びた。通期のEC化率(全体の売上高に占めるEC売上高の構成比率)は、前期比3.8ポイント増の13.3%に高まっている。


■ジーユーは60%増

 ファーストリテイリングの決算発表では、ジーユーのEC化率が約9%であることを明らかにした。全体売上高から算出するとEC売上高は約220億円になる。前期比約60%増という高い増収率だったことも発表した。
 ジーユーはユニクロに比べ、安価な商品をそろえており、コロナ禍で節約志向が進む中、利用が進んだと考えられる。ユニクロに比べECシフトは遅れていたが、ネットに親しみのある若年層の顧客が多いこともあり、実店舗の営業が制限される中で、ECを利用するユーザーが急増したようだ。


■ベイクルーズも29%増

 ベイクルーズ(本社東京都、杉村茂CEO)の20年8月期におけるEC売上高は、前期比29%増の510億円。ユニクロ同様の高い成長率となった。
 ベイクルーズもユニクロの共通点として、自社ECサイトの売上比率が高いことが挙げられる。ユニクロは自社ECサイトの比率が100%。ベイクルーズはモール展開も行っているが、実店舗を生かしたオムニチャネル施策に注力した販売戦略を推進していたこともあり、自社ECサイトによる売上比率は77%と高い水準を保っている。
 他のアパレル大手の自社ECサイト比率を見ると、ユナイテッドアローズが21.4%(20年3月期実績)、TSIホールディングスが31.5%(20年2月期実績)となっており、ユニクロやベイクルーズの自社ECサイト比率の高さが分かる。
 自社ECサイト比率が91.0%と高いオンワードホールディングスの20年3―8月期(中間期)のEC売上高も、前年同期比38・0%増と高い成長率を記録している。


■店舗顧客をECに

 コロナ禍で自社ECサイトに強みのあるアパレル企業が高いEC成長率を上げているのは、実店舗の顧客をECに誘導することに成功したからだろう。

(続きは、「日本流通産業新聞」」10月22日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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