〈将来価格の表示のルール整備〉 予見可能性の向上に期待/9月中にもパブコメで意見募集へ

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 消費者庁は、今年5月から「将来の販売価格を比較対照価格として用いた二重価格表示等に関する意見交換会」を2回行った。8月24日に第2回を実施し、意見交換会は終了した。9月中にもパブリック・コメントで意見を募集し公表する見込みだ。事業者にとっては、規定が明らかになることで違反の予見性が高まることが期待される。景品表示法に造詣が深い弁護士2人と、過去に、将来価格の表示に対して処分を受けた事業者に意見を聞いた。

■処分事例が契機に

 これまで、将来の販売価格を比較対照価格として用いた二重価格表示には、明確な規定がなかった。
 景品表示法に精通する池田・染谷法律事務所の染谷隆明弁護士は、「消費者庁の公式な見解としてルールが整理されるのは非常に意義がある」と話す。
 将来価格を比較対照とした二重価格表示を行う予定の事業者からは、通常価格(発売後の割引価格から、「将来価格」に値上げ後)の販売期間はどの程度が適正なのか、相談を寄せられることは多いという。これまでは、過去の販売価格を比較対照とした二重価格表示の規定を基に対応してきた。
 三浦法律事務所の松田知丈弁護士は、将来の販売価格を比較対照価格として用いた二重価格表示に関連して、過去に措置命令を受けた事業者がいたことに言及。「処分事例が契機となって、事業者による違反の予見可能性を高めて『(規範を)明確にしよう』という動機付けになったのではないか」(松田弁護士)とみている。


■顧客に明確な表示を徹底

 18年にテレビ通販で将来価格の表示に対して景品表示法違反の処分を受けたジュピターショップチャンネル(本社東京都、新森健之社長)は、消費者庁が有利誤認と認定した措置命令について、消費者庁のガイドライン「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」に基づき、顧客に分かりやすい広告表示を行うべく細心の注意を払っていたと主張している。
 消費者庁による調査のプロセスでジュピターショップチャンネルは説明を重ねたが、消費者庁からは対応が不十分だとする指摘を受けたという。
 措置命令後は、消費者庁に指導を仰ぎ、将来の販売価格との二重価格表示を行う際には、将来価格での販売日数を2週間確保するよう改善している。消費者庁による意見交換会など、事業者にとって将来価格に関わる表記の違反予見性を高める規範づくりの動きについては、「今後も消費者庁から示される指針・方針に従って、お客さまに分かりやすい表示を行うべく対応していく」(マーケティング部)考えだ。
 08年に将来価格の表示に対して景品表示法違反の処分を受けた通販企業のユーコー(本社東京都、石田重廣社長)は、本紙の取材に応じなかった。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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