〈NITEが発表〉 次亜塩素酸水報道で波紋/ナックなどは顧客に個別説明

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 (独)製品評価技術基盤機構(NITE)が発表した、次亜塩素酸水の有効性に関する5月29日に行った発表が、波紋を呼んでいる。テレビや一般紙などが一斉に、「有効性が確認できなかった」などと報じたからだ。NITEとしては、「引き続き検証試験を継続する」ことを発表したにとどまるが、発表内容が曲解されてしまった可能性がある。次亜塩素酸水に関連した商材を展開するナックは、安全性に関する試験結果をHP上で公表するなど、対応に追われている。
 NITEは、5月29日に発表した新型コロナウイルスの代替消毒法の有効性に関する資料の中で、「次亜塩素酸水については、今回の委員会では判定に至らず、引き続き検証試験を実施していく」としていた。
 NITEの広報によると、実際には、次亜塩素酸水は一定の条件の下で使用すると、新型コロナウイルスの数が減少するなどの有効性が確認できていた。ただ、ウイルスが減少する条件が限定的であるため、条件を確定するために、試験を継続することを発表したのだという。
 NITEによると、この発表を見た複数のメディアが「次亜塩素酸水に有効性が確認されなかった」などと報道した。報道の影響で、次亜塩素酸水の噴霧機器の使用を停止することを発表する自治体も出てきている。
 クリクラブランドで次亜塩素酸水溶液の噴霧器のレンタルを展開しているナックは6月1日、次亜塩素酸水の安全性と有効性に関するデータを公表した。ナックには顧客から、同報道についての問い合わせが多数寄せられているという。
 電解水素水整水器を展開する日本トリムでは、5月の決算発表資料の中で、次亜塩素酸を一定濃度含む電解酸性水の活用を推進していく方向性を示していた。同社では「現時点では、報道による影響はない」(広報)としている。
 リフォーム訪販企業などに対して次亜塩素酸水生成器の卸販売を行っている協和医療機器(本社青森県)の担当者は、次亜塩素酸水をめぐる一連の報道に疑問の声を投げかける。
 「次亜塩素酸水は、厚生労働省もインフルエンザなどの病気に対して効果があると認定しているものだ。今回のNITEの発表は中間結果であり、『有効でない』と決めつけるのは時期尚早だ」(橋本充尋エリアマネージャー)と話している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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