本紙調査14年度の消費生活相談/訪販は5年連続減少/電話勧誘も前年度比11%減に

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日本流通産業新聞はこのほど、14年度に全国の消費生活センターに寄せられた販売チャネル別の消費生活相談の件数を調査した。「訪問販売」に関する相談件数は前年度比2・6%減の8万8873件となり、5年連続で減少。契約者が60歳以上の相談に限っても13年度を下回った。日本訪問販売協会の会員を中心に多くの訪販事業者が消費者保護を強化しており、一定の成果が表れた格好だ。「電話勧誘販売」に関する相談件数も14年度は同11・6%減となっている。消費者保護一定の成果
 全国の消費生活センターに寄せられた相談情報が蓄積されている「消費生活相談データベース」の数値を独自に集計した。
 訪問販売に関する相談件数は14年度も前年度を下回り、本紙が所有するデータで最も古い06年度との比較では約37%の減少となっている。
 訪問販売の相談のうち、契約者が60歳以上の件数は前年度比3・8%減の4万6999件。国内で60歳以上の人口が増えているにもかかわらず、相談件数は5年前と比べて5%以上も減っている。
 訪問販売に関する相談件数が減少している背景には、業界団体や事業者が消費者保護に取り組んできたことがある。
 日本訪問販売協会が13年に実施した会員向けのアンケート調査では約7割の会員が、契約時に親族の立ち会いを求めるなど高齢者を守るための自主規制を導入していた。
 同協会の会員以外でも、非営業部門のスタッフが契約内容をダブルチェックする仕組みなどを構築している訪販会社は珍しくない。
 訪問販売やネットワークビジネスなど140社以上が加盟する全国直販流通協会も、販売形態ごとに協議会を設置して自主行動基準を制定。戸別訪販の企業が多数加盟している住宅設備・リフォーム協議会では、判断力不足が懸念される高齢者と契約する場合、原則として親族の同意を取るといった自主規制を設けている。

電話勧誘は減少
執行強化が奏功

 14年度の電話勧誘販売に関する相談件数は、前年度比11・6%減の9万551件だった。いわゆる「送りつけ商法」の被害が相次いだことで近年は相談件数が増え続けていたが、14年度は減少に転じた。
 契約者が60歳以上の相談件数も同22・0%減の5万6551件に減少している。
 電話勧誘販売の相談件数が減少した一因は、国や都道府県が特商法に基づく行政処分を強化したこと。13年度における電話勧誘販売に関する執行件数は前年度比約1・8倍の47件に増えていた。
 行政の執行強化で悪質事業者の一部は市場から撤退。電話勧誘販売に関する相談件数は依然として高水準にあるものの、業界健全化に一定の成果を上げている。
 「マルチ取引」に関する14年度の相談件数は同17・8%増の1万1812件だった。相談件数が増えたのは7年ぶり。

(続きは本紙 5月21日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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