消費者庁/取消権求める声が多数/具体的な要件の明確化が焦点に

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 消費者庁は2月10日、「消費者契約に関する検討会」を開催し、前回に引き続き消費者契約法の改正に向け、「つけ込み型」勧誘に対する取消権について議論した。取消権の対象となる「つけ込み型」の要件や定義の明確化について話し合いが続き、取消権の必要性を求める声が多く上がった。
 検討会で、西田公昭委員(立正大学心理学部教授)は「高齢者や認知症患者などの『継続的ぜい弱性』を有する消費者だけでなく、知識不足や、必要かどうかを考えるための十分な時間が与えられなかったなど『一時的ぜい弱性』におかれた消費者への勧誘が確認された場合も、取消権が必要になる」と主張した。
 平尾嘉晃委員(弁護士)は「被害が起きてから訴訟を起こして決着がつくまでには、かなりの時間を要する。取消権があれば被害者の負担を減らすことができる。どのような事例が『つけ込み型』になるかを明確化することが必要」と主張した。
 一方で、沖野眞巳委員(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は「取消権の対象となる要件や事案は、あえて抽象化すべきではないか。現行法は複雑になり過ぎている。要件を明確化しすぎると、法律の隙間を縫って悪質な勧誘を行う場合も出てくる」という意見を述べた。
 消費者庁消費制度課の加納克利課長は検討会終了後、本紙の取材に対し、「サプリメントの過量販売など、具体的な事例を明確化することは必要だが、明確化することにより隙間事案が増えることは想定できる。具体的な要件については、今後検討していきたい」とコメントした。
 次回の会合は3月16日に開催し、引き続き消費者契約についての議論を行う予定だ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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