〈消費者委員会〉 モール規制は確実か/準則改定は早くて来年

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 消費者委員会は1月11日、「オンラインプラットフォームにおける取引のあり方に関する専門調査会」の第7回会合を開催した。これまでの会合で、ECモールなどプラットフォーム運営企業に対する規制を新たに設けるべきと、結論付ける方向性が定まってきた。ただ、「電子商取引及び情報材取引等に関する準則(※参照)」の改定など、具体的な措置が講じられるのは早くとも来年になるとみられる。
 調査会は消費者保護を目的に、ECモールなどオンラインプラットフォームに対する規制の在り方を検討するもの。プラットフォームの定義や事業領域が幅広いため、調査会では商品売買の場を提供するプラットフォームを議論の対象にしてきた。
 第7回会合では、大阪大学大学院高等司法研究科の千葉惠美子教授が、プラットフォーム型のビジネスにおける利用者保護について解説。
 千葉教授は、プラットフォーム運営企業がデジタル上で収集したデータを活用し、収益を上げている事実に言及。消費者保護について「プラットフォーム運営企業は場を提供しているだけ、という理屈は通用しない」と指摘した。
 調査会の座長代理である立教大学法学部の早川吉尚教授は「プラットフォーム運営企業が何らかの責任を負わなければいけないということは、楽天やメルカリなど調査会の委員にも理解してもらえている」と調査会の現状を説明する。
 早川教授は「電子商取引及び情報材取引等に関する準則」など、準則について審議する経済産業省・産業構造審議会の委員でもある。
 プラットフォーム型ビジネスに対応するルール整備については、経産省を事務局とする「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」でも議論が進む。中間論点整理(案)では「本年中に基本原則を定め、これに沿った具体的措置を早急に進める」旨を盛り込んだ。
 早川教授は「『デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会』の働き掛けにより準則を改定するとしても、来年以降になる」との見解を示した。


 ※電子商取引および情報材取引等に関する準則…ECや情報取引に関する法的問題について、関連法がどう適用されるのかを明らかにする法解釈の指針。法的拘束力はないが、ECに関連した裁判などで、法的根拠として用いられる。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ