アフィリエイト広告の表示について、健康食品や化粧品の通販企業が騒然となっている。消費者庁は6月、通販サイトの表示が優良誤認・有利誤認に当たるなどとして、通販企業に対して措置命令を行った際、アフィリエイトサイトの表示についても「自社ウェブサイトの記載内容を踏まえて記事を掲載させていた」などと言及した。景表法の処分で、アフィリエイトサイトの表示についての言及があったのは、今回が初めて。これを機に、通販会社から、アフィリエイト関連の団体や代理店に寄せられる問い合わせが急増しているという。昨今の景表法の執行強化の流れを受け、アフィリエイトによる売り上げを激減させる通販企業も出てきているようだ。ある広告代理店によると、アフィリエイト経由での売り上げが前年比で60%減になった企業もあったという。
■問い合わせが1.5倍に
消費者庁は6月、サプリメントや着圧下着などを販売するブレインハーツ(本社大阪府)に対して措置命令を行った。措置命令では同社が、アフィリエイトサイトの運営者に対して、自社ウェブサイトの記載内容を踏まえたブログや口コミの記事を作成させ、自社ウェブサイトに遷移させるリンクを掲載させていたと認定した。
措置命令ではブレインハーツに対して、消費者が今後、アフィリエイトサイトからブレインハーツのウェブサイトに遷移した際に、景表法に違反した表示をしていたことを消費者に周知するよう命じている。
消費者庁表示対策課の大元慎二課長は、今回の措置命令でアフィリエイトサイトに対する見解を盛り込んだことについて、「アフィリエイトについて広告主の責任を積極的に追及していくというメッセージと受け取ってもらって構わない」と話している。
景表法に詳しい丸の内ソレイユ弁護士事務所の成眞海弁護士は、「この措置命令が直ちに業界に深刻な影響を与えるというわけではない。ただ、消費者庁が今後、アフィリエイトサイトに対して、健康増進法に基づく勧告を行う可能性もあり、通販企業としては、十分に注意して広告の運用を行っていくべきだろう」と話す。
6月の消費者庁の措置命令以降、アフィリエイト業界の相談事業などを行う日本アフィリエイト協議会(事務局神奈川県)には、アフィリエイト広告の広告主からの問い合わせが急増しているという。同協議会の笠井北斗代表理事によると、「すべてがブレインハーツの影響ではないが、措置命令以前と比べると、広告主からの問い合わせ件数が1.5倍に増加している」としている。全国の消費生活センターからの問い合わせに至っては以前の3倍程度にまで増加しているという。
問い合わせには、「特定のアフィリエイトサイトについて、問題のない媒体かどうかチェックしてほしい」「景表法や薬機法など広告主側が注意すべき法律について教えてほしい」といった内容のものが多いという。アフィリエイトサイトは基本的に、広告主が表示や表現の内容を決めないケースが多い。広告内容が、アフィリエイター任せになってしまうため、自社の商品・サービスを紹介するアフィリエイトサイトの表現に、過剰なものがないか知りたいという事業者や、どのようにアフィリエイト広告をコントロールすればよいかを知りたいという事業者が多いようだ。
■18年は流入が減少傾向に
ある広告代理店によると、18年に入って以降、アフィリエイト経由の顧客流入に減少傾向がみられるという。別の広告代理店も、同様の傾向を感じているようだ。
(続きは、「日本流通産業新聞」10月18日号で)
〈アフィリエイト広告〉 消費者庁の措置命令で業界騒然/表示規制で6割減収の通販企業も
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