楽天は7月17日、自社物流を拡大する取り組みにおいて、受取人が希望した場合に商品を玄関前などに置いて届けたことにする、「置き配」サービスを本格的に提供する考えを明らかにした。日本郵便は6月26日、来春に「置き配」に対応する方針を示した。大手ECモールや大手宅配便事業者がサービスを本格化することで、受け取りの選択肢として「置き配」が普及しそうだ。
■「置き配」がデフォルト
楽天は20年までに楽天市場の商品を発送から宅配まで一気通貫で行う。宅配は自社の配送サービス「Rakuten Express(ラクテンエクスプレス)」を中心に行う計画だ。「ラクテンエクスプレス」ではすでに「置き配」に対応している。楽天の三木谷浩史社長は、「置き配」をさらに拡張し、ユーザーの利便性を高めたい考えだ。
「届ける荷物によって『置き配』を手軽に選べるようにする。将来的には『置き配』がデフォルトでもいいかもしれない。『置き配』した商品は置いた場所の写真を送り、利用者に連絡する。『置き配』したくない商品は指定できるようにする」(三木谷社長)と展望を述べる。
物流サービスを刷新し、受け取り方法の自由度を拡充する中で、「置き配」のニーズは高いと見ている。
「ラクテンエクスプレス」の配送対象地域は現在、都内23区のみだが、関西にも広げる。20年までにさらに配送対象地域を拡大する計画だ。
■「置き配」の選択肢用意
日本郵便(本社東京都、横山邦男社長)はゆうパックのサービス改善の一環として、来春をめどに「指定場所配達サービス」を開始する。受取人の希望に基づき、不在時などに玄関先に荷物を置いておく。
「一般的には『置き配』といわれたりするが、当社では『指定場所配達サービス』と呼んでいる。受取人が指定するとしているが、玄関先や車庫など選択肢は当社で用意し、選べるようにする予定だ」(広報室)と話す。
利用者の利便性を向上するとともに、再配達を削減し、配達員の労力を軽減する狙いもある。
「置き配」の普及を見据え、受け取りのためのセキュリティーバッグや、盗難に対応するための保険が発売されている。こうしたツールやサービスが増えれば、消費者の「置き配」利用率が高まる可能性はある。
いずれにせよ受け取りの選択肢として「置き配」が普及する流れは間違いなさそうだ。通販企業は宅配会社と協力し、「置き配」の効果的な使い方を啓発することで、物流危機の改善につながるかもしれない。
〈「置き配」普及の兆し〉/楽天や日本郵便が本格提供
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