【やぶれたチラシ―クロレラチラシ40年の歴史に幕か―】京都地裁、広告差し止めを命令/サン・クロレラ「最高裁まで争うつもりでいる」

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問題となった「日本クロレラ療法研究会」の折り込み広告

問題となった「日本クロレラ療法研究会」の折り込み広告

 適格消費者団体の京都消費者契約ネットワーク(事務局京都府、高嶌弘理事長)が健康食品通販を手掛けるサン・クロレラ販売(以下サ社、本社京都府、北澤誠一社長)に対し、日刊紙の折り込み広告の差し止めを請求していた裁判に決着がついた。京都消費者契約ネットワークでは、サ社が日本クロレラ療法研究会という別団体の名義で「クロレラ」の薬効を記載した広告を出していたことについて、景品表示法違反にあたるとして、広告の配布差し止めを求めていた。この件について、京都地裁は日本クロレラ療法研究会がサ社の会社組織の一部であると認定。「日刊新聞紙の折込チラシ」に、クロレラに「免疫力を整える効果がある」などと表示しないよう命令した。この判決に対し、サ社側は1月23日付で控訴状を提出。サ社の代理人弁護士であるたんご法律事務所の和田敦史弁護士は「場合によっては最高裁まで争うつもりでいる」という意向を示している(一連の流れは表1を参照)。

 原告側は、サ社が「日本クロレラ療法研究会」という団体を設立し、同団体名義で、日刊紙にクロレラに関する薬効をうたう折り込み広告を配布していたと主張している(=画像参照)。このチラシでは、クロレラの特定の成分が、がんや糖尿病の治療に効果があるとうたっていた。同チラシを見た消費者が資料請求を行うと、サ社の商品カタログが送付される仕組みになっていたという。サ社では、「日本クロレラ療法研究会とサ社に経済的な結びつきはない。チラシには、サ社の商品を掲載しておらず、法には触れていない」(和田弁護士)と主張している。


折込広告出稿費もサ社が負担

 京都地裁ではこの件について、(1)クロレラ研究会の会長である『二代目中山流石』はサ社の取締役である中山哲明と同一人物である(2)クロレラ研究会の京都本部はサ社の本店所在地にある(3)研究会チラシに表示された電話番号の回線契約者はサ社である(4)研究会に資料請求を行うと、クロレラ研究会名義の資料だけでなく、サ社の商品カタログや注文書が送付されてくる─の4点の事実から、日本クロレラ療法研究会は、サ社の会社組織の一部であるとの判断を示した。日本クロレラ療法研究会のチラシを作成し配布したのはサ社であると認定したのだ。
 京都消費者契約ネットワークの代理人弁護士である御池総合法律事務所の長野浩三弁護士は「折り込み広告の広告出稿費もサ社が負担していたようだ。2者間のつながりを否定しようがない」としている。
 今回の判決では、両者の関係を示した上で、「日本クロレラ療法研究会のチラシは景品表示法上の優良誤認または消費者契約法上の不実告知にあたる」との判断を示した。
 サ社側は、日本クロレラ療法研究会のチラシの記載内容の真偽について、京都府消費者契約ネットワーク側が立証責任を負うと主張していたが、同判決はこの主張も退けた。京都地裁では「サ社が商品を販売する目的で研究会チラシを作成したのであるから、その記載内容が事実であることを直ちに証明できてしかるべきである。京都消費者契約ネットワークにおいて積極的な立証をしなくても、サ社が研究会チラシの内容を証明するに足りる証拠を提示できない場合には『優良誤認表示や不実告知にあたる』と事実上推定される」とした。
 判決は、日刊紙の折り込み広告に、クロレラについて「免疫力を整える旨」「細胞の働きを活発にする旨」などを表示する行為の差し止めを命じた(表2参照)。さらに、判決確定後に、京都府内で配布される日刊紙に、「景品表示法上の優良誤認表示にあたる広告を配布していた」旨の周知広告を出すことを命じた。
 ただ、被告側が控訴しているため現時点では判決が確定していない。「仮執行宣言もついていないのでチラシ配布を継続することは可能」(和田弁護士)な状況だ。今後、同様のチラシ配布を続けるかについては、「サ社と方針を協議している段階」(同)としている。一方で、京都消費者契約ネットワークでは「裁判が続く中、チラシの配布が継続されるようであれば、仮処分など何らかの法的措置をとることも辞さない」(長野弁護士)としている。

(続きは本紙1月29日号で)

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