〈家具・家電通販会社〉物流コスト軽減に対応/ポイント付与、物流施設見直しで

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ニトリHDは、配送センターでの商品受取りキャンペーンを実施している

ニトリHDは、配送センターでの商品受取りキャンペーンを実施している

 新生活シーズンを迎え、家具、家電の通販会社が物流コストの負担軽減に向けた対策に乗り出している。ニトリホールディングス(HD)は注文商品を配送センターで受け取る購入者に対して、会員ポイントを付与し、配送の混雑緩和を図る。ベガコーポレーションは、商品価格を適正化して収益を改善し、物流施設の見直しに充てている。自社配送サービスを行う大塚家具は、倉庫スタッフが配送も兼務して繁忙期に対応している。

■商品価格を値下げ

 ベガコーポレーションは、17年に配送委託先の見直しを行った。主要委託先だった福山通運がBtoC向けサービスから撤退したためだ。福山通運と並行して配送委託していた佐川急便や西濃運輸などへの物流量を増やして対応したが、佐川急便などが配送料を値上げしたため、配送コストが上昇した。
 ベガコーポレーションの17年4—12月期(第3四半期)の売上高は、前年同期比20.2%増の95億6900万円だった。営業利益は同43.6%減の3億5400万円、経常利益は同37.7%減の3億7600万円、四半期純利益は同40.8%減の2億3000万円といずれも減益。配送コストの増加が響いている。
 17年10月以降、これまで値引き販売していたコモディティ商品の値上げを実施した。ECサイト内で対象商品のページをリニューアルし、訴求を行っている。
 「価格を見直すことで適切な利益を確保する狙いがあった。第2四半期に比べ、利益は少しずつ改善している。10月から12月にかけ、プライベートブランド(PB=自主企画)商品の着る毛布『グルーニー』を中心とした季節商品の売れ行きが順調だったことも改善要因の一つ」(経営管理本部)としている。
 同社ではユーザーが多い地域への物流施設の移転や新設を検討している。配送距離を縮めることで配送効率を上げる狙いがある。
 利益率の改善により、物流施設内の見直しにつなげる考えだ。増加する物流量に対応するため、作業の自動化に向けた取り組みを検討中だ。物流システムを構築するほか、AI(人工知能)技術も取り入れる予定。商品の在庫管理、適切なタイミングでの商品発注作業などを自動化する。システムの導入により販売の機会ロス防止のほか、人件費や余剰在庫の削減が可能となるとしている。
 「物流コストについては不透明な状況が続いており、課題だと考えている。社内で分析を行い、具体的な施策を検討している」(同)としている。

■ポイント施策を実施

 ニトリHDは、「ニトリメンバーズカード」の会員に対するポイント施策を2月21日から実施している。ECサイトなどで購入した商品を全国78カ所にある配送センターで受け取ったユーザーに対し、ポイントを付与していく。配送業務の効率化が狙いだ。
 「配送センター受取りキャンペーン」では、1万8426円(税別)以上の家具を購入した会員に対し、2000円分のポイントを付与する。家具は配送員設置商品に限るとしている。5月6日まで実施する。
 「春の新生活シーズンやゴールデンウィークにかけ、配送件数が増える。お客さまに商品を直接取りに来ていただくことで、車両不足に対応する」(広報部)としている。
 ニトリHDでは、配送員が設置を担当する家具について、配送料を2月1日から値上げした。平日は無料だったものを一律1000円(税別)に、土日祝日は一律1000円から2000円(税別)にそれぞれ値上げした。
 ニトリHDの17年3—11月期(第3四半期)の通販売上高は、前年同期比33.2%増の220億円だった。一方で発送配達費は同12.9%増の199億円に上った。
 17年12月に行った決算説明会で白井俊之社長は、「配送費用が予想以上に増えている。家具の配送コスト削減のため、配送方法を見直している」と話した。


■倉庫スタッフが配送も

 大塚家具は自社で大型家具の配送サービスを行っている。配送スタッフが家具の組み立てや設置も担当する。物量が増加する新生活シーズンにかけ、倉庫内のスタッフが配送を行うなど、業務の効率化を図っている。
(続きは、「日本流通産業新聞」3月8日号で)

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