日本流通産業新聞が17年12月に集計した「通信販売・通信教育売上高調査〈冬季〉」によると、上位400社の合計売上高は6兆5145億5900万円だった。前年実績と比較可能な149社で算出した実質伸び率は3.3%増。前年同期調査と比べると、実質伸び率は1.2ポイントのプラスとなった。ランキングに掲載した注目企業には、インタビューにて17年の成果や18年の展望を聞いた。
■アマゾンが連続1位
売上高ランキング調査は上位400社を掲載している。アマゾンは今回も1位になった。有料会員「アマゾン・プライム」向けの無料配送の対象商品を拡充するなどして、業績を拡大している。
2位のアスクルもBtoB事業がけん引し、増収を続けている。ただ、17年2月に発生した倉庫火災の影響で18年5月期のBtoC事業は見通しが厳しい。さらに、BtoB分野にアマゾンが本格参入してきたことで、さらなる競争激化が予想される。
5位のミスミ、7位の大塚商会、17位のMonotaRO、18位のカウネットなどBtoB通販企業は引き続き成長している。
3位のジャパネットたかたや6位のジュピターショップチャネルなどテレビ通販大手も売り上げを伸ばしている。ジャパネットたかたの17年12月期は、さらに売り上げを拡大する見通しだ。
■アパレルの売り場広がる
アパレル通販企業は、軒並み2桁の増収を記録している。ユニクロは店頭以上の品ぞろえをECサイトで実現し、販売促進を図っている。ユニクロ以外もリアルのアパレル企業がECシフトを加速し、売り上げを伸ばしている。
ファッションに特化したECモールである「ゾゾタウン」「ショップリスト」「マガシーク」なども成長している。大手ECモールもアパレル分野を重点分野と位置付けており、ネット上の売り場が広がっていることも増収の背景にはある。
■モールの直販化進む
楽天やヤフーなど大手ECモールの直販化にも注目が集まる。ヤフーはアスクルの「ロハコ」と連携し、日用品分野の直販を進めている。楽天は子会社のRakuten Directで「ロハコ」に対抗している。楽天はIRにて、「(四半期ベースで)Rakuten Directはロハコの約2・3倍の売り上げ、収益を上げている」と言う。
楽天は18年春からビックカメラとの合弁会社で家電ECを展開する。直販型から始まり、モールも展開するアマゾンに対抗すべく、既存のECモールの直販化はさらに進みそうだ。
■苦戦続くカタログ通販
カタログ通販企業は苦戦が続く。売り上げが減少傾向にある大手企業は、自らの強みを改めて確認し、事業の再構築を急いでいる。
ベルーナやティーライフなど中高年層に強いカタログ通販企業は業績が堅調だ。ティーライフはリアルのイベントやコールセンターにおいて顧客との交流に注力しており、関係性の深さが強みとなっている。
通販企業のネットシフトは今後も進むとみられているが、アナログな手法で差別化を図る企業も増えそうだ。
【通販・通教・EC〈2017年〉売上高ランキング】上位400社売上高調査/合計売上6.5兆円/実質伸び率は3.3%増に
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