動画コマース/メルカリ、ヤフー出足好調/TV通販のロッピングライフも参入

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「オシャレウォーカー」はインフルエンサーを起用してメルカリでライブ配信

「オシャレウォーカー」はインフルエンサーを起用してメルカリでライブ配信

 ECモール大手のヤフーやフリマアプリ最大手のメルカリ(本社東京都、山田進太郎CEO)がライブコマース(生配信動画で商品を販売)機能を法人向けに提供を開始し、参加企業が続々と販売を始めている。ヤフーではライブ配信中に5万件以上の「いいね」を集めた企業もある。メルカリで初めて配信したアパレル企業は、用意した商品が完売した。動画コマースはライブ配信型だけではなく、収録した動画を配信するプラットフォームも増えている。動画コマース市場が盛り上がる中、テレビ通販のロッピングライフ(本社東京都、中村雪浩社長)は、ネットテレビ局で通販事業を展開する新会社に資本参加したり、ECモール「Wowma!(ワウマ)」と連携したライブコマース企画も実施する。テレビ通販企業が動画コマースで顧客を開拓する動きも活発化しそうだ。


 メルカリは12月1日、フリマアプリ「メルカリ」内のライブ配信チャンネル「メルカリチャンネル」において、法人にライブコマース機能を開放した。参加企業は相次いで販売を開始している。
 アパレルECのピー・ビー・アイ(本社東京都、高木孝社長)は12月8日に初めてライブ配信を実施した。メルカリの利用者層である20代にターゲットを合わせて、ストリートブランド「RAZZIS(ラズ)」を販売。ブランドのモデルを務めるARATA(アラタ)と、ゲストとしてモデルのYUMI(ユミ)を起用した。
 ストリート雑誌のモデルも務める2人が配信を行うこともあり、配信し始めてすぐに多くのユーザーが参加。配信中に「いいね」数が1万件を超え、用意したアイテムが完売した。
 「起用したモデルがSNSで事前告知してくれたこともあり、ユーザーが集まり、『メルカリチャンネル』のランキングでも1位になったことでさらに視聴者数が伸びた。当初、30分間の配信予定だったが、売れ行きも良かったので時間を延長して50分間配信を続けた。法人で1万件の『いいね』を超えたのは初めてではないか。商店街の八百屋というか、リアルのフリマのような、ユーザーとのやり取りの中で売れていく様子を見て、可能性を感じた」(ピー・ビー・アイ・高木社長)と振り返る。

■芸能人で盛り上げる

 伊藤久右衛門のチャンネルには、お笑いコンビの「さらば青春の光」が登場した。タレントはメルカリが呼んできた。影響力のあるタレントを起用することで、ライブ配信の認知度を高めるとともに、企業の販売促進に貢献したい考えだ。
 マイティ(本社大阪府、木下常一社長)のレディースアパレルECサイト「オシャレウォーカー」では、初回配信はスタッフが担当したが、2回目はメルカリから紹介を受けたインフルエンサーを起用した。インフルエンサーのフォロワーもチャンネルに訪れており、「いいね」数は6000件を超えた。
 マイティは「いろんな人を起用して配信するのも面白い。売れ方にはまだむらがある。人や時間、配信方法などもっと試していきたい」(仲庭拓也統括部長)と言う。
 メルカリで法人向けのライブコマース事業を担当する石川佑氏は、「法人が参加することでメルカリチャンネルのバリエーションが増えた。ただ、参加企業もまだ手探り。メルカリらしくCtoCのような親近感のある配信ができればもっと売れると思う。毎秒売れる個人の方もいる」と話す。
 メルカリ事業開発部の小野直人部長は、「現在はBtoC特区という感じで試験的に取り組んでいる。企業の公式ツイッターが人間らしいツイートをしたらバズることがあるように、メルカリでもブランドの中の人が特徴的な配信を行ったら面白い」と期待している。

(続きは、「日本流通産業新聞」12月14日・21日合併号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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