全加工食品に原産国表示義務化へ/事業者「産地変更も視野に」

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 国内で製造されたすべての加工食品に対し、原料原産地の表示が義務付けられる可能性が高まっている。消費者庁と農林水産省は10月5日に開催した加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会で、すべての加工食品に原料原産地表示を義務付ける素案を示した。検討会で座長を務める森光康次郎委員(お茶の水女子大学大学院教授)も「今後、この方向性を変えるつもりはない」と明言した。素案が合意を得られた場合、表示義務の対象は、現行の22品目群・4品目から一気に拡大する。食品通販事業者にも影響が出そうだ。
 食品表示法に基づく食品表示基準により、消費者が購入する食品に表示を義務付けている。加工食品について、国内製造品の一部には原料原産地名、輸入品には原産国名の表示が必要となる。
 現在、原料原産地表示義務の対象となっている加工品は、乾燥きのこ類、こんにゃく、煮干し魚介類など22品目群と、うなぎかば焼き、農産物漬物など4品目。今年3月に農水省が公表した試算によると、表示が義務付けられているのは全加工食品1126品目のうち21.2%にあたる239品目。
 消費者庁と農水省が示した素案によると、すべての加工食品に対し、原則として「国別重量順表示」が規定される。原材料の原産国を重量順に記載するもので、原産国が3カ国以上ある場合は、3カ国目以降を「その他」と表示できる。
 現行ルールでは、食品中の重さが50%以上を占める原材料に限定して表示を義務付けているが、素案では重さが50%に満たない場合でも重量順位1位の原材料について原産国を表示すると提示された。
 ただし、産地切り替えなどのたびに容器包装の変更が生じて「国別重量順表示」が困難な場合は例外措置を認めるとしている。

(続きは、「日本流通産業新聞」10月20日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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