無店舗販売食品市場・徹底分析/チャネルミックスで顧客開拓が加速/宅配企業は対面回帰で成果も

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日本流通産業新聞社は7月、食品通販と食品宅配を手掛ける企業を対象にした「無店舗販売 食品売上高ランキング〈2015年度〉」をまとめた。上位50社の合計売上高は5696億4800万円で、前年同期調査50社の合計値よりも280億円増加した。前年実績と比較可能な19社で算出した実質伸長率は0.7%増だった。ランキング上位では、イトーヨーカ堂、らでぃっしゅぼーや、オイシックスなどが増収を達成。ヨシケイ開発、ディナーサービス・コーポレーションなど社歴の長い宅配企業は横ばいだった。新規顧客獲得が苦戦したワタミは2期連続で減収。業界では、リードタイムを短縮化する動きがECやネットスーパーで活発になっており、食品をめぐる顧客獲得競争はチャネルミックスの形で激しさを増している。


■夕食キット販売企業に明暗

 ヨシケイやディナーサービス・コーポレーション、タイヘイといった創業40年を超える企業では、ECや生協などに市場を奪われる形で苦戦。次の一手で反転攻勢をかける。
 最大手のヨシケイグループは5月に新商品「ラビュ」を投入。共働き世帯の増加などによる顧客ニーズに対応し、「時短」と「手作り感」を両立した商品開発を進める。ディナーサービス・コーポレーションも8月をめどに、夕食食材セットのリニューアルを予定し、テコ入れを図る。
 一方で、事業から撤退や業態を切り替える企業も出てきている。タイヘイは自社配送便からECに全面的に切り替える。秋をめどに、新サービスを開始する予定だ。ワタミは、首都圏で展開している夕食食材キット「お料理キット」から3月に撤退。九州全域と山口、広島だけで販売を継続する考えだ。トドクック(本社大阪府)は今年2月末で、近畿エリアのヨシケイグループに事業を譲渡している。老舗企業が手掛けてきた自社配送便によるビジネスモデルが転換期を迎えている。
 販売が好調なのが、オイシックス、らでぃっしゅぼーやなど国産野菜を販売する企業だ。「時短」をキーワードに働く女性を取り込む。
 オイシックスは売上高が初めて200億円を突破した。売り上げをけん引したのが「きっとおいしっくす」で、累計200万食(16年3月末現在)を突破している。
 らでぃっしゅぼーやは、14年6月に販売を開始した献立キット「私が仕上げる10分キット」が好調だ。現在までに累計16万食を超えた。こうした動きから、大地を守る会も今秋をめどに、夕食食材セットの販売に新規参入する。30~40代にターゲットを絞り込み、新規顧客獲得を狙う。


■シニア向け宅配成長に期待

 シニア向けの宅配弁当を手掛ける業界では、配送員による御用聞きや通販事業を始めている。顧客の囲い込みたい考えだ。
 FC展開で市場の拡大を広げる企業は、全般的に業績が好調。業界最大手のワタミは今後、販売員「まごころスタッフ」の確保が業績を左右しそうだ。


(続きは、「日本流通産業新聞」7月14日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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