年々、残暑が長引き、暖冬が当たり前になりつつある。多くの通販企業は季節の影響を受けやすく、「酷暑」「暖冬」の対応に苦慮している。1年間のうち、気温が20度を超える日々が半年間を占めるなど、日本は亜熱帯地域になっていると言っても過言ではない。気候の変化を受け、通販企業の中には、商品開発の方針や、カタログの発行内容を変更する企業もある。通販企業は「酷暑」「暖冬」にどのように対処していくのか。有力企業の戦略に迫る。
昨年末取材をしていく中で、冬物の動きが悪いと嘆く企業が多かった。実際にどのくらい初動が悪いのか、それを受けて、25年はどのように対応するのかを取材した。
特に暖冬の影響を受けてるのはアパレルを販売する企業だ。各社、試行錯誤をしながら対応に奮闘している。
アパレル業界においては、重ね着を提案する企業が増えている。1着で防寒できるダウンよりも、何枚も着て暖を取るケースが目立っている。
EC売上高が20億円を超えるアパレルD2Cブランド「SOÉJU(ソージュ)」を展開するモデラート(本社東京都、市原明日香代表)は、今期の冬商戦において、ケープの販売が好調だった。
ケープとは肩を覆う袖のないコートのこと。「コートのほかに、腕を通さずショールのように巻いたりすることもできる。多様な使い方ができ、重ね着にも対応できることで、秋からの販売が伸びている」(市原代表)と話す。
実際に25年1月時点において、入荷待ちの状態になっており、好評である様子が伺える。
■コラボが売上拡大に寄与
アパレル大手のしまむらでは、EC売上高が順調に推移している。24年3―8月期(中間期)のEC売上高は、前年同期比94.9%増の61億円にまで拡大した。特にインフルエンサーやキャラクターとコラボレーション(コラボ)した商品の販売が好調だった。
しまむらは秋冬物の先行予約販売を強化している。インフルエンサーやキャラクターとのコラボアイテムを秋冬の早めの時期から提案する。限定数とすることで、予約注文で売り切る戦略だ。受注生産で販売する商品も拡大し、さらなるEC売上高の増加につなげていく。
「MOUSSY(マウジー)」や「SLY(スライ)」などのブランドを展開するバロックジャパンリミテッドでは、24年3―11月(第3四半期)のEC売上高が前年同期比3.1%増の79億2200万円と好調だった。暖冬・酷暑に対応するさまざまな施策が奏功し、EC売上高増加の一因になったという。
主に商品展開数と展開時期などを考慮し、MD(マーチャンダイジング)の組み替えを実施していることが奏功したという。
■カタログにも影響
暖冬の影響はカタログ通販企業にも影響を及ぼしている。大阪の老舗カタログ通販企業A社では、
(続きは、「日本流通産業新聞 1月23日号で)
【通販企業、暖冬の影響は?】商品・販売戦略の見直し急ぐ/薄手アウター投入、コラボ商品の事前予約で対策(2025年1月23日号)
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