日本人の主食である”コメ”においてもコスト高や仕入れ高の波が押し寄せている。これまで通販業界では、価格優位性で勝負してきた事業者も多かったが、価格で勝負するのが厳しい局面を迎えている。そんな情勢の中、コメ通販各社は”安売り”に頼らない差別化策が進んでいる。コメの卸売りや通販事業を展開する八代目儀兵衛(本社京都府、橋本儀兵衛社長)は、徹底したギフト戦略を実行し、1万円以上の商品の販売に成功している。コメ単体で勝負するのではなく、セット商品で一会計当たりの購入で確実な利益を出している事業者もいる。”安売り”せず、確実に売り上げと利益を確保できている有力事業者の戦略を紹介する。
農林水産省が令和元年4月~令和2年3月の年平均で算出した入手経路別の購入割合を見ると、「スーパーマーケット」で購入すると回答した人は、48.8%と過半数を占めた。「その他の小売店」と回答した人は22.2%、「インターネット」と回答した人はわずか9.9%だった。
調査代行事業のナビット(本社東京都、福井泰代代表)が22年9月に発表したレポートでも、コメの購入場所として、「スーパーマーケット」と回答した人は、54.0%。「インターネット・通販」と回答した人は、11.7%だった。
また、「コメを選ぶ際に重要視している点とその理由は何ですか?」という問いに対して、「価格」と回答した件数は370件だった。ナビットでは、1000人にアンケートを取っているため、4割弱が、安く購入できることを重要視していることが分かった。
このことから、コメを購入する際は、まだスーパーマーケットで購入する人が多く、通販事業者はこの層を取りに行っていることが分かる。スーパーマーケット同様、商品の”安さ”を訴求し、通販を利用してもらおうと画策している通販事業者は多い。
■ギフトに特化した戦略
だが、”安さ”に頼ると、利益を生み出すのが厳しくなる。他社が販売価格を安く再設定したら、「顧客が流れるかも」と懸念し、自社も販売価格を下げざるを得なくなってしまう。そうすると、さらに利益を圧迫し、会社の存続自体が難しくなることも出てきてしまう。
(続きは、「日本流通産業新聞」7月13日号で)
【コメ通販事業者】 脱”安売り”に奔走/八代目儀兵衛はギフト戦略で成功(2023年7月13日号)
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