【ChatGPT活用では「個人情報」に注意】通販ECサービス展開時に課題(2023年4月20日号)

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 「ChatGPT」の勢いが止まらない。「ChatGPT」とは、マイクロソフトが多額の出資を行うOpenAI(オープンエーアイ、本社米国)が、22年11月に発表した自然言語生成AIだ。「ChatGPT」を利用したサービスが次々とローンチされている。OpenAIのサム・アルトマンCEOが来日し、4月10日には岸田文雄首相との会談が行われるなど、注目が集まっている。一方で、世界各国では規制や規制検討の動きが見られる。イタリアでは、個人情報保護の法律に違反しているとし、使用が停止された。日本での「ChatGPT」活用の課題について、個人情報保護の観点から専門家に話を聞いた。

■通販サイトで続々と活用スタート

 EC事業でも、続々とChatGPTのサービスへの導入や活用が発表されている。
 例えば、パーソナルスタイリングサービス「DROBE(ドローブ)」を展開するDROBE(本社東京都)は3月29日、自然言語でファッションアイテムを検索することができるサービス「AIスタイリストさん」のβ版をリリースした。
 BASEは4月6日、ネットショップ作成サービス「BASE(ベイス)」に、「ChatGPT」を活用したAI機能を追加。商品説明文や顧客に送付するメールマガジンの文章、SNSへの投稿文の作成をサポートするという。
 4月18日には、米国版メルカリでの活用も発表された。ユーザーのショッピング支援を行うという。
 世界的にも続々とサービスや利用者が広がっている状況だ。


■個人情報保護に懸念の声

 一方で、各国では、個人情報保護の観点から懸念の声が上がっているという。
 総務省総合通信基盤局で個人情報やプライバシー関連の法解釈・政策などを担当し、通販にも明るい、池田・染谷法律事務所の今村敏弁護士は、「イタリアのデータ保護当局がいち早く調査に乗り出した。それに追随するように各国で規制の動きがあるとの報道などがある。欧州では、フランス、ドイツ、アイルランドが調査や規制の動きを見せ、米国やカナダでも規制案の検討や調査などが開始されているようだ」と話す。
 前出の「DROBE」の「AIスタイリストさん」の開発責任者である都筑友昭CTOは、「サービス開発に当たって、法務部と相談しながら進行した。特に気を付けたかったのは、個人情報だ。AIの回答を通して、個人情報が漏れないサービス設計をするよう注意した」と語った。
 サービス展開時の個人情報の取り扱いは難しい問題だが、日本でも法的な課題や規制の可能性はあるのだろうか。


■日本における規制の可能性

 今村弁護士は、イタリアのGDPRと、日本の個人情報保護法の違いを比較した上で、「『ChatGPT』に対して、日本の個人情報保護法によって何らかの調査が開始される、具体的に執行されるリスクは現時点では低いのではないかと思われる」と話す。「実際に執行に至ったとしても、日本の個人情報保護法はGDPRのような多額の制裁金を課せるものでもないため、執行の面でも大きな違いがあると考えている」と言う。
 4月11日、OpenAIのCEOが来日し、岸田文雄首相と会談。自民党本部の会議にも出席した。

(続きは、「日本流通産業新聞」4月20日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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