機能性表示食品制度/どうなる研究レビュー検証/目的は「質向上への寄与」

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企業の責任で食品の機能性を表示することができる「機能性表示食品制度」の届け出受理のペースがこのところ早まってきている。そんな中、科学的根拠を示す「研究レビュー」の扱いに注目が集まっている。消費者庁は10月30日、外部委託による研究レビューの検証に着手し、来年3月末までに結論を出す方針を明らかにした。東京農業大学の上岡洋晴・地域環境科学部教授を中心とした研究チームも、消費者庁の動きとは別に、研究レビューの検証に着手している。両者とも異口同音に検証の目的を「研究レビューの質の向上に寄与すること」としている。研究レビューに基づいて届け出を行った機能性表示食品販売事業者の中には「届け出を取り消されてしまうのではないか」と不安を募らせるケースも出てきているようだ。

消費者庁では、研究レビューの検証を、学識経験者らで構成するワーキンググループ(WG)で行う計画だ。WGの設置は民間に委託する。10月30日には消費者庁のサイトに、検証事業についての入札公告を掲載した。
 入札の仕様書では、研究レビューに関する専門知識を持つ10人ほどの学識経験者でWGを構成することを求めている。ガイドラインに示されている「システマティック・レビューの実施手順に係る考え方」「PRISMA説明チェックリスト」「機能性の科学的根拠に関する点検表」と、実際の届け出内容との整合性を検証する。10月31日までに届け出された研究レビューが検証の対象になる。
 入札仕様書では「全ての研究レビューを対象とすること(全数調査)が望まれるが、ワーキンググループにおける検討の結果、適当であると考えられた場合、無作為抽出等適切な方法を用いた標本調査でもよいこととする」としている。ただ、機能性関与成分などに偏りが生じない配慮を求めると同時に、「定量的研究レビュー(メタアナリシス)を行っている機能性表示食品の研究レビューについては、全て対象とすること」(仕様書)としている。
 入札日は11月27日となっているが、受託先の詳細については公式には明らかにされていない。ただ、業界関係者などからの情報によるとコンサルティングなどを行うみずほ情報総研が落札したもようだ。
 消費者庁では「研究レビューがガイドラインの手順に沿ってなされているかのチェックが検証目的」(消費者庁食品表示課・清野富久江課長補佐)としており、「検証結果は今後届け出される研究レビューの質を高めるためにフィードバックする予定だ」(同)とも話している。
 坂東久美子長官は「消費者庁内に、専門的な研究のチェックを行う専門機関があるわけではないので、検証事業などを活用していくということは、今後、この届け出制と、そこに届け出られる科学的な根拠について一層の質の担保をしていく上で、寄与していくと思う」とコメントしている。

続きは「日本流通産業新聞」12月3日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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