新築住宅などを対象とした太陽光発電の設置の義務化について、東京都は25年4月の施行を目指す方針を固めた。都だけでなく、京都府が22年から一定規模以上の新築建物などを対象に太陽光パネルの設置義務を設けているほか、群馬県や神奈川・川崎市なども検討に入っている。法人施設による太陽光パネルの需要も増加し、ビルやマンション、工場、小売店に広がりそうだ。一方、太陽光パネルの廃棄やリユースの課題も見過ごせない状況で、太陽光を中心とした再生可能エネルギーを巡る動きに注目が集まっている。
■対象は大手50社程度に
東京都が9月9日に発表した新築住宅を対象にした太陽光発電の設置を義務化する基本方針によると、対象となるのは年間2万平方メートル以上の住宅やビルを建築する大手の事業者で、50社程度が見込まれるとしている。
事業者は、太陽光発電の設置について日照などの立地条件や住宅の形状などを踏まえて判断していく。一方、屋根の面積が一定規模に満たない住宅などについては設置対象から除外できるようにする。
設置義務化は、エネルギー問題の解決が目的だが、太陽光発電を取り付けるための設計、日照時間、建設場所、コストなどについて具体的な内容を詰めていく必要がある。コストにおいては、補助金なども視野に入れた対応が求められる。都は近年、太陽光発電や蓄電池を設置する際の助成金を出しているが、需要の増加で予算の消化が早まっている。今回の新築住宅に対する新たな補助金も導入の広がりには欠かせない。
■売上伸ばす事業者目立つ
太陽光発電など省エネ商材を販売する事業者では成長が続いている。
新日本エネックス(本社福岡県、西口昌宏社長)は23年1月期の売上高について前期よりも15億円増の40億円とする計画だ。「今期は勝負をかける時期」(西口社長)として、社員全員にさらなるレベルアップを求めて目標設定した。22年8月の時点で35億円の売り上げとなっているもようで、さらに攻勢をかけていく計画だ。
19年9月に創業した日本住宅総合開発(本社愛知県、加藤皇大社長)は、創業7年目に売上高100億円を目指している。3期目となる22年8月期の売上高は前期実績から約2倍の16億円を見込み、23年8月期は30億円を目標とする。
同社の加藤皇大社長は23歳。太陽光発電の販売企業の中では後発ながら成長を見据える。加藤社長は「当社には攻める経営が求められる。戦略としてはランチェスターの法則を用いている」と話す。意識決定のスピードを向上させるために事業の分社化も行った。
太陽光発電や蓄電池をフランチャイズ(FC)展開するエナジークオリティー(本社埼玉県、大友晴喜社長)は、FC加盟店向けのサービスを拡充させて成長を続ける。
FC加盟店数は現在25店に広がった。FCに関する問い合わせは月に約30件寄せられているという。
(続きは、「日本流通産業新聞」9月15日号で)
【再生可能エネルギー】 都が25年に太陽光義務化へ/廃棄、リユースの課題も残る(2022年9月15日号)
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