楽天グループ(楽天)は今年7月、ECモール「楽天市場」の出店者向けイベント「楽天EXPO2022」において、SKU別に価格やサービスを変えることができる新たな商品管理(通称:SKU対応)を導入すると発表した。「楽天市場」開設以来の大きなデータ構造の刷新になる。「楽天市場」特有の商品ぺージを残しつつ、商品データの構造化を進めることで、競合モールにはないハイブリッド形式の商品データ管理を実現する。この施策により、これまで実現できなかった多彩な機能を提供できるようになるという。
「楽天EXPO2022」において、三木谷浩史社長は、「より購入しやすい売り場を目指し、23年にSKU対応を実現するための商品管理の仕組みを実装する」と発表した。
SKUとは「ストック・キーピング・ユニット」の略で商品管理の一番小さい単位のことを指す。「SKU対応」とは、SKU単位で商品管理を行えるように、「楽天市場」のデータ構造を刷新する取り組みのことだ。
「SKU対応」を推進するマーケットプレイス事業 楽天市場企画部戦略&サービス管理室オフィスマネージャーの河津あい氏は、「楽天は当面、国内EC流通総額10兆円を目指している。それを達成するためには、これまでの商品管理のやり方では難しいという判断に至った。『楽天市場』の商品データは、全てが商品ページにぶら下がるという25年前から同じ構造を継続してきた。商品データが全てテキストで書かれている点も問題だった。価格も情報も商品ページにひも付いている。店舗さまも複数のモールに出店していたり、倉庫の管理が非常に高度化していたりする。商品ページにひも付いた商品データの管理システムでは、今後の機能開発もままならない。『いつか変えなければいけない』というタイミングが来ている」と説明する。
「楽天市場」には3億5000点以上の商品が登録されており、商品情報がテキストで書かれていると、ユーザーが探している商品が何なのか、判別が難しいという。
「例えば『根室のさんま』を探していても、『さんま』と検索すると世界中の『さんま』がヒットしてしまう。十数年前までは、検索結果が0件にならないように、該当商品がないときに何を表示すべきかを考えて機能を開発していた。それが今は全く状況が変わり、検索結果に商品がヒットしすぎて、やっぱり目的の物が見つからないという状況になっている。今後はさらに物が増え、ますます見つかりにくい状況になる。データ構造を変えることで、そういう状況を打破したい」(河津氏)と話す。
■ハイブリッド形式に
「SKU対応」により、「楽天市場」特有の商品ページは変わらないが、商品データについてはSKUごとに管理できるようにする。
「例えばAmazonさんだと、SKUの情報を集めたリンク集のような形で商品ページを構成している。ヤフーさんはわれわれの従来からのやり方と同じだ。楽天は両方に寄らない『楽天市場』らしい形式に進化していきたい。店舗さまの商品ページを大事にしながら、商品情報をデータ化するというハイブリッド形式を導入する」(同)と話す。
(続きは、「日本流通産業新聞」9月8日号で)
楽天/「楽天市場」開設来の大変革/データ構造を刷新、独自形式で新機能続々 (2022年9月8日号)
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