〈特商法専門調査会〉15人全員が再任/パブコメ受け議論再開へ

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特定商取引法(特商法)の見直しを検討している内閣府消費者委員会・特商法専門調査会の第2期メンバーが決まった。議論の継続性を保つため第1期の委員15人全員が再任。8月末にまとめた中間報告書に対するパブリックコメント(パブコメ)の結果を受け、10月下旬以降に議論を再開する見通しだ。

 同調査会は消費者委員会の下部組織として今年3月に発足し、委員の任期が満了となった8月末までに計11回開催した。消費者被害の実態解明や特商法に関する課題の洗い出しを行い、不意打ち的な訪問販売や電話営業に対する規制の是非、通販の虚偽・誇大広告を見て注文した消費者に取消権を与える案などを検討した。
 調査会の第2期で座長を務めるのは、第1期と同じ早稲田大学大学院法務研究科の後藤巻則教授。事業者側の委員としては日本通信販売協会の佐々木迅会長、日本訪問販売協会の鈴木弘樹会長、読売新聞東京本社総務の野坂雅一氏ら5人が再任となった。
 特商法の規制強化を主張してきた委員では、消費者団体の4人に加え、東京経済大学現代法学部の村千鶴子教授や東京大学大学院法学政治学研究科の沖野眞已教授らが後半戦も顔をそろえる。
 消費者委員会の第4次本委員を務めている池本誠司弁護士と全国消費生活相談員協会の増田悦子専務理事は、本委員と専門調査会を兼務する。
 9月1日から末日まで募集していた中間報告へのパブコメの結果は現在、消費者委員会事務局が集計中だ。「集計結果や主な意見をまとめて調査会に提出する」(消費者委員会事務局)と言う。
 第1期の調査会では、多くの検討事項において消費者団体側と事業者側の意見が真っ向から対立した。中間報告の時点では不招請勧誘規制や広告規制をはじめ大半の論点が煮詰まっていない。
 調査会は中間報告書をベースにパブコメの内容を踏まえ、議論を深める。16年春ごろをめどに法改正への意見書をまとめる見通しだ。
 ただ、事業者側からは、法改正の根拠となる消費者被害の実態解明が不十分であるとして、規制強化の議論を行うこと自体への反対論も根強い。
 一方、消費者団体側は訪問販売への不招請勧誘規制の導入などを諦めておらず、第2期調査会でも両者の綱引きが続くと予想される。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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