【百貨店・ギフト各社のお中元通販】 来店客の通販誘導を促進/今季は3割増収を見込む企業も(2022年6月16日号)

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 百貨店・ギフトの各社では、早くもお中元向け通販が活況だ。コロナ禍も影響して売り上げが順調だった前年に続き、各社は今年も堅調な増収を見込んでいる。実店舗の売り場を縮小して、通販での購入を促したり、通販向けの販促を強化する傾向も顕著だ。今期の売り上げ計画について、ギフトEC大手のベルヴィは前年実績より30%増を目指している。お中元商戦の通販の施策、今シーズンの特徴、需要予測などをまとめた。

 百貨店では、店頭の売り場を縮小したり、店頭で通販の利便性やお得感を訴求して、通販に送客する動きが目立っている。
 「松屋銀座」や「松屋浅草」などの松屋は5月27日から、「松屋オンラインストア」でお中元向けの通販を開始した。期間は前年より12日長い7月26日までとした。開始時期を前年より早めたこともあり、売れ行きは前年の約4倍で推移しているという(6月9日現在)。
 松屋銀座は6月1日に、「お中元ギフトセンター」を店内に設けた。コロナで来店客が減ったことを踏まえ、会場は面積・展示商品数とも前年の4割程度に縮小している。松屋によると、ECの利用を促し、会場運営費や隣接会場で実施する催事も含め、トータルで利益を生み出す体制を整えたという。
 セブン&アイ・ホールディングス傘下の、そごう・西武(本社東京都、林拓二社長)は売り場の縮小はせずに、現状維持とした。店頭注文は商品によって送料がかかるが、ECで購入すると1件3000円以上の購入で送料無料にする情報を店頭で訴求している。また、EC利用層に響くと思われるカジュアルギフトを提案して新規顧客の獲得を図っている。このほか、約900種類の商品を対象に、6月30日までの早期特別優待を設けている。
 高島屋は今年、お中元向け通販を5月6日から開始した。来店客に配布する媒体でもECで実施している「カタログギフトプレゼントキャンペーン」や、ポイントのプレゼント企画などを紹介している。「カタログギフトプレゼントキャンペーン」は、注文商品のうち1点以上を環境に優しい「エコ包装」で指定して、税込1万円以上を購入した人を対象に、カタログギフトを抽選で2000人に贈呈する。
 高島屋は、現在の売り上げ状況について、これまでのコロナ禍の売り上げ伸長もあり、前年超えとはいかないものの、洋酒など、さらに伸長しているアイテムがあるという。まだお中元商戦の序盤であるため、今後繁忙期の売り上げアップに期待を寄せている。


■通販への誘導が活発

 松屋は、「松屋オンラインストア」限定の購入特典を設けて、ECでの購入を促進している。EC限定の送料無料商品を拡大したほか、ECで購入した人に松屋ポイントカードのポイントを5倍付与している。また、「松屋オンラインストア」でお中元・お歳暮の商品を初めて購入した先着1000人に1000ポイント付与するほか、「全国送料110円ギフト」の商品を、ECで購入すれば送料無料にした。既存顧客にはカタログを送付しているほか、メルマガやLINE公式アカウントで発信したり、カード会員向け会報誌で案内したりしている。
 高島屋は、既存顧客へのメルマガ配信・DM発送、LINEやインスタグラムなどSNSの活用、動画広告を含む各種ウェブ広告の出稿などで販促に取り組んでいる。
 そごう・西武も同じく、カード会員やEC会員へのメルマガ配信、SNSでの情報発信、ウェブ広告を展開する。各社はともに、デジタルマーケティングを中心とした施策は前年と変わりなく、顧客とのコミュニケーションの質的向上や頻度を増やすことで販売拡大につなげたい考えだ。


■前年より増収を目指して

 松屋は、お中元向け商戦の全体売り上げが前年比5%減になると見ている。その内訳は、店頭のギフトセンターが同10%減、外商が同5%増、インターネットが同80%増、自家需要が同5%増。来店者数減少やギフトセンター縮小によるマイナスを見込みながら、売り上げだけを追わずに全体で利益を出す仕組みづくりを整備したとしている。
 高島屋は、今シーズンの売り上げ目標について前年比約20%増とした。ここまでクッキー、ケーキ、自家需要向けのワイン、シャンパン、洋酒が堅調に推移しているようだ。

(続きは、「日本流通産業新聞」6月16日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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