〈東京都 14年度相談件数〉 高齢者相談が過去最多/「訪問販売」は5年連続で減少

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む
訪問販売の相談件数

訪問販売の相談件数

東京都は10月1日、「14年度消費生活相談年報」を発表した。60歳以上の高齢者の相談件数は過去最多の3万9286件で、全体の相談件数の3割を占めた。訪問販売の相談件数は5年連続で減少したものの、「マルチ商法」は増加傾向にあることが分かった。
 発表によると、全相談件数は前期比1・6%増の12万9040件で、3年連続の増加となった。このうち高齢者の相談件数は前期比0・5%増の3万9286件となり3年連続で増加した。
 販売購入形態別では「訪問販売」が前期比2・2%減の1万350件だった。全相談の8・0%を占め、比率は前年と比べ0・2ポイント減となった。「販売の環境が厳しくなっていることを考えれば、今後も減少傾向になるのではないか」(東京都消費生活総合センター・阿部耕治相談課長)と分析する。
 商材別では住宅リフォーム関連の「工事・建築・加工」が同3・6%増の1178件で最も多かった。
 訪問販売で相談が急増しているのが「浄水器」。相談件数は同34・6%増の284件となった。価格が高額であることに加え、販売の際に水質検査を行う従来型の販売が依然として目立つ。また、浄水器を販売していた会社が倒産し、フィルター交換を引き継いだ企業からの営業についての問い合わせもあるという。
 一方で、「寝具」や「学習教材」などは上位10位に入らなかった。
 「SF商法」は、同22・3%減の129件。契約当事者の年代別でみると70歳以上が83件と最も多く、全体の6割以上を占めた。年齢が高齢になるほど、家族からの相談が多くなる傾向にあるという。
 商材別では「健康食品」が34・2%減の48件、「医療用具(家庭用電気治療器)」が同22・2%減の21件だった。
 一方で、増加しているのが「マルチ(まがい)商法」。相談件数は、同11・7%増の1531件で全相談の1・2%を占めた。相談内容については「解約全般」が同14・8%増と最も多い。この理由について「連鎖販売の場合は、支払いの前に相談してくるケースもあるからではないか」(同)とみている。
 商材別で最も相談が多い「健康食品」は同10・1%減の275件、「化粧品」は同7・1%増の180件だった。「マルチまがい」とみられる投資向けのDVDをはじめとする「学習教材」が同13・0%増の164件と続く。
 また「浄水器」が同167%増の83件と急増した。「送られてくるはずのカートリッジが届かないなど、悪質な企業による相談が急激に伸びた結果」(同)と分析する。
 美容・健康ドリンクなどの「飲料」が同58・1%増の68件と増えている。「NBの勧誘を受けたが購入したくない」や「商品を返品したい」「子どもが見たことのないドリンクを購入しているが止めさせたい」などといった相談が寄せられている。

マルチ(まがい)商法の相談件数

マルチ(まがい)商法の相談件数

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ