【専門家に聞く〈特商法・申し込み段階のガイドライン〉】/「影響は軽微」「地方に届かない」など賛否 (2022年2月24日号)

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 消費者庁がこのほど公表した「通信販売の申し込み段階における表示についてのガイドライン」では、ECサイトでの商品購入時の最終申し込み確認画面に表示すべき、六つの事項を示している。ガイドラインについて、特商法に詳しい弁護士や業界団体など、複数の専門家にヒアリングしたところ、「新たな影響は軽微」とする声が聞かれた。一方で、「多くの事業者が最終確認画面を改修せざるを得ない」などと、影響の大きさを指摘する意見もあった。
 特商法や薬機法、景品表示法などに詳しい、東京神谷町綜合法律事務所の成眞海弁護士は、「個人的には、あまり変わらないのではないか」とする見解を示している。
 成弁護士は、「これまでも『意に反して契約の申し込みをさせようとする行為』の規制として、最終確認画面で定期購入契約の内容を表示しなければならないとされていた。改正法では同じ内容が条文で規定されたが、主だった部分は共通しており、新たに表示しなければならない事項で、特に重要と言えるものはないという印象だ」と言う。「以前から特商法に準拠した最終確認画面にしている事業者であれば、多少の記載の追記で、問題ないのではないか」と話している。
 定期購入型の通販を展開する企業のLP監修などを行う丸の内ソレイユ法律事務所の中山明智弁護士も、「「インターネット通販における『意に反して契約の申し込みをさせようとする行為』に係るガイドライン」や、処分事例の内容を、以前から確認していた事業者からすると、特にECサイトを改修する必要はないのではないか」と話す。
 中山弁護士は、「今回は、規制内容が大きく変わったというよりも、必要となる記載事項が分かりにくかった従前のガイドラインの内容が、より一般化された形だ。記載が必要な事項を、別ウインドーで詳細表示することも可能である旨が記載されており、ページの全面改修は必ずしも必要ではない」と話す。影響はそこまで大きくないという見解だ。
 一方で、地方の中小企業への情報周知が足りていないことを指摘する声もある。
 (一社)日本経済団体連合会の正木義久ソーシャル・コミュニケーション本部長は、「最終画面が消費者庁の要求を満たしている事業者は、現状では少なく、多くの事業者がサイトを改修せざるを得ない」と、影響の大きさを指摘する。「大手企業からは『ガイドラインについて勉強会を開きたい』とする要望も聞かれるが、情報が届きにくい地方の中小企業には周知が必要だ。ただ、あまり知れ渡っているようには思えない」と話している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ